eMAXIS Slim 全世界株式(いわゆるオルカン)は、個人投資家にとって極めて優秀な投資信託だと思います。低コストで世界中の株式に広く分散でき、その時々の時価総額に応じた配分調整もファンドが自動でしてくれます。「長期分散低コスト」の条件を満たすリスク資産として、資産形成の中心に据えるのは大筋で合理的です。ただし、オルカンは万能ではありません。世界中に分散されていても、投資対象は基本的に株式です。世界的な金融危機や景気後退が起きれば、オルカンも大きく下落します。運が悪ければ、評価額が半分近くになる可能性もあります。「全世界だから安全」「長期なら絶対に損をしない」と考えるのは危険です。国や企業の個別リスクは小さくできますが、株式市場全体が下落する市場リスクまでは消せません。
優秀な道具を正しく

近いうちに使う予定のお金や、緊急時の生活防衛資金までオルカンに投資するべきではありません。必要な時に株価が大きく下がっていれば、安値で売らざるを得なくなるからです。数年以内に使うお金は普通預貯金やMRF、10年前後使わない無リスク資産は個人向け国債変動10年などで持つのが分かりやすいと思います。また、オルカンを保有しているだけで、家計管理や資産配分まで自動的に最適化されるわけではありません。どの程度を株式に投資し、どの程度を無リスク資産に置くかは、自分で決める必要があります。オルカンは魔法の商品ではなく、優秀な道具です。優れた道具でも、使い方を間違えれば困ります。受け入れられるリスクの範囲内で保有し、無リスク資産との配分を守る。オルカンを過信せず、適切な距離感で使い続けたいです。

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