7月21日に公表された金融戦略について、第一ライフ資産運用経済研究所は、政府の資産形成政策の重点が少額投資非課税制度(NISA)の制度拡充から、企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)の改善へ移りつつあると分析しています。NISAは2024年の制度改正で、年間投資枠が360万円、生涯投資枠が1,800万円となり、非課税保有期間も無期限になりました。制度の骨格はかなり整ったため、今後は大規模な枠の拡大よりも、利便性の向上や制度の普及・定着が中心になるとみられます。人間、制度が完成するとすぐ次の改正を欲しがりますが、まずは現在の制度を普通に使いこなす段階でしょう。
改善の余地は大きい

一方、企業型DCやiDeCoでは、拠出限度額の引き上げ、運用商品の選択支援、複雑な制度の簡素化、広報の強化などが重点項目とされています。老後資金づくりを後押しする制度でありながら、勤務先の企業年金制度や加入区分によって上限額や手続きが異なり、正直かなり分かりにくいです。改善の余地はNISAより大きいと思います。ただ、NISAとiDeCoは競合する制度ではありません。NISAは運用益が非課税で、いつでも売却して引き出せます。住宅購入や教育費など、老後前にも使う可能性がある資産の運用に向いています。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。多くのケースで税制優遇はNISAより強力ですが、原則60歳まで引き出せません。老後資金として確実に隔離できる一方、流動性は低い制度です。運用余力があるならば、所得控除の効果が大きい人はiDeCoを優先し、そのうえでNISAを使う考え方が自然です。ただし、生活防衛資金や近い将来に使うお金までiDeCoへ入れるべきではありません。投資先は、どちらの制度でも「長期分散低コスト」に合致する時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンドがおおむね分かりやすいと思います。NISAかiDeCoかという二者択一ではなく、それぞれの役割を理解し、自分の家計や目的に合わせて組み合わせることが大切です。

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