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増税へ都合のいい設定のデータを示す財務省

株式譲渡所得税率負担率の比較 株式投資の心構え
主要国における株式譲渡所得に係る税負担率の国際比較。財務省が数億円以上の株式譲渡所得がでる高額所得者の例だけを強調し、日本が諸外国よりも金融所得課税率が低いように見せかけている(財務省個人所得課税より引用)
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 こんにちは、財務省は10月18日付で「個人所得課税」という参考資料を発表しています。10月の政府税調で公開された参考資料です。さらに、金融所得課税強化を正当化するために国会議員や全国紙の記者に配布しているとみられる資料です。600万人しかいない申告納税者のみの集計結果を基に作成し数千万人いる確定申告をしていない給与所得者のデータを全く反映していないグラフ「申告納税者の所得税負担率」(一億円の壁のグラフ)や株式譲渡所得が数億円から100億円という超富裕層だけを比較対象とし中間所得層以下を考慮しているとは到底言えないデータ「主要国における株式譲渡所得に係る税負担率の国際比較」(株式譲渡所得税率の国際比較)を提示しています。金融所得課税強化に都合がいいデータを厳選し強調しているという感想です。しかも、データはツッコミどころが満載です。今回は株式譲渡所得税率の国際比較のデータを見てみたいと思います。

10月18日付「個人所得課税」(財務省PDFデータ)

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen19kai2.pdf

「ほったらかし投資術」(山崎元、水瀬ケンイチ共著)は日本人がインデックス投資を始め上で必要な知識が余すところなく詰まっています。

 

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「日本の金融所得税率は外国よりも安い」は正しくない

株式譲渡所得税率負担率の比較
主要国における株式譲渡所得に係る税負担率の国際比較。財務省が数億円以上の株式譲渡所得がでる高額所得者の例だけを強調し、日本が諸外国よりも金融所得課税率が低いように見せかけている(財務省個人所得課税より引用)

 株式譲渡所得税率の国際比較のデータは日本、米国、英国、ドイツ、フランス。スウェーデンが比較対象となっています。一目見ると、日本と英国だけが株式譲渡所得税率が他国よりも安いように見えます。しかし、横軸に注目してください。株式譲渡所得が10億円単位の目盛りで最大100億円になっています。事業を成功させた実業家や資産家を想定したデータにすぎず、ほとんどの人にとって、株式譲渡所得を10億円単位の目盛りで考えるのは全くもって現実離れしています。インデックス型投資信託の取り崩しで、1億円を年4%取り崩す場合で400万円です。極めて多い人でも年数千万円単位だと思います。データでは、こうした年数十万円から数千万円の株式譲渡税率がつぶれていて、拡大してもよくみえません。かろうじて米国や英国が日本よりも安いようだと読み取れる程度です。確かに株式譲渡所得が1億円以上と巨額にわたるならば、日本の課税率が主要先進国よりも安いのは事実です。しかし、年数十万円から数百万円単位ならば、日本の課税率は米国や英国よりも高いです。日本よりも分離課税率が高いドイツやフランスも、総合課税を選択できます。株式譲渡所得を含めた総合課税対象所得が数百万円程度ならば、ほぼ確実に日本よりも安いとみられています。超高額所得者の例を出して、日本の株式譲渡所得税率が主要先進国よりも安いとして金融所得課税強化の根拠とするには全くもって無理があります。特に分離課税のまま一律引き上げの根拠としては完全に崩壊しています。分離課税のまま25%などに税率を引き上げることは、中間所得層以下への影響が極めて大きくなり一層の格差拡大につながります。

金融所得課税強化を巡る話は過去何度か当ブログでも取り上げています。「1億円の壁」グラフが国民のごく一部のデータのみで作成されて実態を映しておらず、金融所得課税強化の根拠として崩れている話も扱っています。

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