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東京新聞のNISA記事に反論

NISAの抜本的拡充 株式投資の心構え
金融庁が2023年度税制改正要望に盛り込んだNISAの抜本的拡充(金融庁ホームページより)
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 こんにちは、金融庁が2023年度税制改正要望に盛り込んだ少額投資非課税制度(NISA)拡充案に対し、東京新聞が注文を付けた記事が同社ホームページに掲載されました。11日午後8時2分付でアップされた「NISA拡充は金持ち優遇?資産は海外流出?岸田首相の『資産所得倍増』の柱には課題も」のタイトルの記事です。記事は「NISA拡充が金持ち優遇になりかねず、加えて国内企業への投資につながるか懸念が持たれる」という内容です。特定左派野党や財務省あたりが言いそうな意見を代弁したという感想で、正直言えば疑問が残る記事です。東京新聞の記事に反論します。

※あくまで東京新聞の該当記事への反論であり、東京新聞や執筆記者を誹謗中傷する意図は全くありません。言論や報道の自由は他人を攻撃したり、公共の福祉に反したりしない限り、当然に保証されるべきと考えています。今回の記事を含め東京新聞の論調は筆者と相いれない部分は多々ありますが、基本的に権力におもねずに報道する姿勢は一定程度評価している面もあります。

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NISA拡充は金持ち優遇ではない

NISAの抜本的拡充
金融庁が2023年度税制改正要望に盛り込んだNISAの抜本的拡充(金融庁ホームページより)

 確かに現状の日本の物価、インフレ水準でNISAの年間投資上限額を500万円にしたり、非課税保有上限額を1億円にしたりするなど必要以上に引き上げれば富裕層優遇につながりかねないと思います。「中間層に恩恵が及ぶ制度にできるかが焦点」というくだりはおおむね同意できます。さらに言えば、中間層以下に恩恵が及ぶ制度にすべきと考えます。しかし、現行のつみたてNISAの年間投資上限額40万円は老後など長期の資産形成に十分でない上に1年(12カ月)の12ですら割り切れません。非課税保有上限額800万円は少なく、非課税保有期間20年は不十分です。つみたてNISAの代わりに選択できる一般NISAの年間投資上限額120万円はさておき、非課税保有上限額の600万円はつみたてNISA以上に少ないです。非課税保有期間の5年(ロールオーバーすれば10年)に至っては短すぎます。金融庁が非課税制度と非課税保有期間の恒久化、つみたてNISAを基本とした上で年間投資上限額を12で割り切れる額に引き上げを求めるのは当然です。金融庁は非課税制度と非課税保有期間の恒久化を最優先とした上で、つみたてNISAに一本化を目指しています。年間投資上限額や非課税保有上限額は富裕層優遇にならず、中間層以下の長期の資産形成を後押しできる額を目指すとしています。NISA拡充は東京新聞の記事で懸念しているような金持ち優遇ではなく、むしろ中間層以下のための制度です。富裕層になればなるほど、NISAの影響は小さくなり、資産のごく一部にすぎなくなります。事実、米国株やインフラ投資などで数億円以上の資産を持つある富裕層の投資家は、つみたてNISAで運用する投資信託を金融資産の中核とは全く位置付けておらず、投資信託の資産クラス別リターン検証に使っているそうです。

NISA拡充は金持ち優遇?資産は海外流出? 岸田首相の「資産所得倍増」の柱には課題も:東京新聞 TOKYO Web
 2023年度税制改正の大きな論点となるのがNISA(少額投資非課税制度)の拡充だ。岸田文雄首相が掲げる「資産所得倍増プラン」の目玉...

東京新聞の該当記事です。本当は該当記事のPV数を伸ばすのに貢献したくないのでリンクを貼りたくないのですが(笑)、批判記事を書く以上公正を期すためにリンクを貼ります。

NISAを日本株投資に限定するな

金融庁のNISA拡充案を扱った当ブログ記事

 東京新聞の記事で、NISAで米国株など外国株が中心に買われ、日本株投資につながるか懸念が残るとした上で識者の言葉を引用する形を取り「日本株に投資が向かうよう政府が成長戦略も一体で進めることが不可欠」としています。NISAを日本株投資に限定する考えは大反対です。こうした考えは筆者が懸念してきたNISAで「日本株投資枠」を設定しようという大悪手につながりかねません。日本株投資枠なんて最悪な罰ゲーム枠が設けられたら、東京新聞の記事で指摘している「NISAの休眠口座」の削減につながるどころか、増加しかねないとさえ思います。金融庁は現状、日本株投資枠をNISAに導入する考えはないとのことですが、日本株投資枠を言い出す政治家や官僚は今後出て来る可能性があるとみています。金融庁は信念を貫いてほしいと思います。

全世界株を時価総額通りが基本

オルカン国別比率

 株式投資の基本は世界中の株式を時価総額通りに保有することです。具体的に言えば、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)などつみたてNISA対象の低コスト全世界株インデックス型投資信託に投資することです。国民の長期の資産形成を目的とするNISAで、世界の時価総額の数%未満にすぎない日本株投資を増やそうとする考えは資産を偏らせる結果になり、株式投資の基本からも大きく外れます。しかも、投資家のニーズを無視しています。日本株への投資を増やそうとする策はNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)といった長期の資産形成制度とは関係ないところですればいい話です。

「資産は海外流出?」の見出しはひどい

 東京新聞の記事の2番手の見出しには「資産は海外流出?」とつけられています。全世界株や米国株、先進国株などの海外株式に投資することがいかにも資産を海外に流出させる悪いことで、日本株に投資することこそが正義だとも言わんばかりの言葉です。厳しい言い方をすれば、ひどい見出しだと言わざるを得ません。日本国内にいる日本人が海外株式に投資をした資産は、日本株と同様にまぎれもなく日本国内の日本人の資産です。海外流出しているわけではありません。しかも、いずれほとんどが何らかの形で日本国内で消費されます。結果、日本企業の利益につながり、日本経済を底上げします。海外株式に投資することは一切悪いことではなく、むしろ日本経済に貢献しているとさえ言えます。オルカンなどに投資をしている皆さんはこんなずれた認識の言葉なんて気にせず、自信を持って続けてください。

楽天証券は、オルカンなどつみたてNISA対象で低コストの全世界株、全米株、S&P500、先進国株のインデックス型投資信託を多数揃えています。つみたてNISAやiDeCoを開設するのに最も適した証券口座の一つです。スマホ版もパソコン版も非常に見やすい画面です。

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