少額投資非課税制度(NISA)が始まって以降、多くの投資家が時価総額加重平均型の低コスト全世界株式インデックスファンドに投資しています。端的に言えば、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)です。先進国から新興国まで、世界中の株式市場にまとめて投資できます。オルカンの最大の魅力は、どの国や地域、どの企業が次に伸びるかを予想しなくていいことだと思います。10年前に、ここまで米国株式の強い時代が続くと確信できた人はここまで多くなかったはずです。20年前であれば、中国や台湾の企業がここまで世界経済の中で存在感を増すと具体的に読めた人も限られていたでしょう。未来の勝者を当て続けるのは極めて困難です。人類は後付では色々言えますが、事前に当て続けるのは別問題です。私にも事前に当てることはまずできません。
世界の市場平均を受け入れる

オルカンは、世界中の株式をその時々の時価総額におおむね沿って保有します。強くなった国や企業の比率は自然に大きくなり、相対的に弱くなった国や企業の比率は小さくなります。投資家自身が「次はこの国だ」「次はこの銘柄だ」と予想して入れ替え続ける必要はありません。つまり、オルカンは「予想する投資」ではなく、「世界の市場平均を受け入れる投資」です。世界中の投資家が日々つけている価格の総和に乗る投資ともいえます。個別の勝ち馬を探すのではなく、世界経済そのものに広く参加する投資です。
低コストと規模の安心感

もう一つの魅力はコストです。オルカンは運用管理費用(信託報酬)が年0.05775%以内非常に低く、純資産総額も国内最大級に成長しました。投資信託は規模が大きいほど、運用の安定性や効率性の面で有利になりやすいです。もちろん、規模が大きいだけで無条件に優れた投資信託になるわけではありません。しかし、低コストで、指数との連動もおおむね安定し、純資産総額も十分に大きいオルカンは、日本を代表する投資信託の一つと言っていいと思います。しかも、ネット証券を使えば少額から簡単に買えます。昔のように、低コストの海外ETFを買うために為替や売買手数料を気にしながら工夫する必要もほとんどありません。かなり恵まれた時代になったと思います。人類もたまには便利なものを作ります。
暴落は避けられない

もちろん、オルカンも完璧ではありません。株式に投資する以上、暴落は避けられません。リーマンショック級の下落や、それに近い大きな下落が今後も起きる可能性はあります。全世界株式だから安全という話では全くありません。全世界株式も、株式である以上、普通に大きく下がります。ただ、世界経済はこれまでも戦争、金融危機、インフレ、景気後退、感染症など、さまざまな困難を経験してきました。それでも企業は新しい商品やサービスを生み出し、技術は進歩し、人々はより便利で快適な生活を求め続けてきました。その結果として、長期では株式市場は成長してきました。
人類の前進にまとめて乗る

結局のところ、オルカンに投資するというのは、「人類はこれからも働き、考え、技術を進歩させ、より良いものを作ろうとする」と信じる行為なのだと思います。人類は失敗もしますし、余計なこともしますし、時々かなり派手にやらかします。それでも、長い目で見れば少しずつ前に進んできました。オルカンは、その前進にまとめて乗るためのかなりシンプルな手段です。派手さはありません。SNSで自慢できるような爆発力もありません。今日買って明日大きく儲かるような投資でもありません。しかし、長期投資で大切なのは、退屈でも続けられることです。勝ち馬探しに疲れたり、相場の短期的な値動きに振り回されたりするより、世界経済全体の成長を静かに保有し続ける方が、私には自然で合理的に感じます。これからも私は、未来の勝者を当てにいくより、世界全体の市場平均を受け入れたいです。オルカンは、そのための最も分かりやすく、低コストで、続けやすい投資信託の一つだと思います。

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