こんにちは、自宅で経済番組を見ていると米国株式やインフラ投資でよく知られ、複数の書籍や動画を更新し続けている某個人投資家系インフルエンサーが「資産が少ないうちは個別株式に集中投資するのが効率的」とまことしやかに語っていました。顔出しはしていなかったので表情までは分かりませんが、想像するとドヤ顔で「決まったぜ」と悦に浸っていたようにも意地悪ながらも感じてしまいました。自らの良心に誓って言いますが、ごくごく一部の成功者と無数の屍を生む可能性が高い極めて筋の悪い手法と断言します。某インフルエンサーの書籍や発信などから推察するに、能力の高さか運の強さで巨額の資産をつかんだ手法なのかもしれませんが、多くの人にとって再現性が極めて低い方法です。そもそも、資産の多寡(たか)や年齢、性別、置かれた環境によって投資手法を変える必要はありません。原理原則は不変です。①「長期分散低コスト」を原則とした時価総額加重平均型(市場平均型)の全世界株式インデックスファンドにリスク許容度の範囲内で投資②個人向け国債変動10年や普通預貯金といった無リスク資産との配分を堅持③可能な限り個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)を活用し①で紹介したリスク資産の置き場に設定④無リスク資産は課税口座に設置ーしかありません。
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確かに個別株式への集中投資はうまくいけば、世界の市場平均に連動するインデックスファンドでは考えられないようなリターンを得られる可能性があるのも事実です。しかし、運用先が倒産して無価値になったり、決算で市場予測を大きく下回り大きく目減りしたりする可能性があります。全世界株式インデックスファンドは運用期間を長くすればするほどリターンの出る可能性は高まりますが、個別株式は必ずしもそうとは言えません。20年どころか30年以上高値に遠く及ばないケースもざらです。最近の例でいうと、事実上本田技研に「救済統合」されると報じられている(両経営陣は当然ですが公には救済の部分は否定しています)日産自動車が分かりやすいです。個別株式はどの銘柄やどのインデックスファンド、どの資産でも背負う市場リスク(システマチックリスク)に加え、個別のリスク(アンシステマチックリスク、アクティブリスク)を背負うことになります。個別のリスクに対する期待リターンは一般に芳しくありません。アクティブファンドのインデックスファンドに対する勝率は10%未満から20%程度とされています。個別株式はアクティブファンドのように運用管理費(信託報酬)は発生しませんが、一応一般的に銘柄が最低限以上に分散されているアクティブファンドよりも分散は効かず、個別リスクは大きいです。アクティブファンドを運用するのは専門の知識を得て、最新の情報を得て分析、判断しているファンドマネジャーです。投資のプロ中のプロです。プロ中のプロでさえ、プロ中のプロの判断の総和である市場平均には多くが負けます(この結果は、逆に考えるとプロ中のプロが一般に優秀である証明にもなっています)。いち個人投資家の多くは私も含めてプロ中のプロにとうてい太刀打ちできないと思います。そして、プロ中のプロの判断の総和である市場平均に対しては推して知るべしです。ちなみに、個別株式をする上では投資を検討する上で①決算分析②財務分析③企業分析④市場分析ーを一切欠かすことは許されず、実際に投資をしてからも上に書いたような分析はサボることが決して許されません。忙しいから、体調が悪いからと言って、重要な経済指標発表、決算発表、企業の発表の確認を後回しにすると致命傷になりかねません。そんなに甘い投資法ではないです。そして、手間暇と時間、追加リスクを支払ったのに、ほとんどはインデックスファンドに対する勝率は惨憺(さんたん)たるものです。なお、前出のインフルエンサーの意見からは、資産が少ないならば、たとえ失敗して減ってもどうってことないでしょという今の自分の巨額の運用資産から見たバイアスだらけに見えて仕方ないです。10億円ある人にとって200万円は人によっては誤差レベルかもしれませんが、300万円しかない人にとって200万円はほとんど全ての人にとって立派すぎる大金です。
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