こんにちは、eMAXIS Slim 全世界株式（オルカン）の東証上場投資信託（ETF）版のMAXIS全世界株式上場投信（2559）の売買板が非常に薄い状況が続いており、解消の兆しが見えていません。数百万円から数千万円以上を一括売買注文した場合、取引値（株価）が激しく変動してしまって連動する指数より著しく不利な取引値で約定してしまう「板飛び」が起きかねません。2559は低コストで、時価総額加重平均型の日本含む全世界株価指数に連動する基本かつ王道のETFです。安心して取引できる程度には流動性を保ってほしいと切に願います。
解消されない薄い売買板
東証では近年、全世界株価指数やS&P500指数、先進国株価指数など主力株価指数に連動する低コストETFが次々上場しています。これらの銘柄の多くは一定以上の流動性を保ち指数との著しいい乖離（かいり）を防ぐためにマーケットメイク対象になったり、外国と日本で分配金が二重課税されないように二重課税調整制度の対象になったりしています。もちろん、2559はマーケットメイクかつ二重課税調整制度の対象銘柄です。しかし、現状の2559はあまりにも売買板が薄い状況が解消されておらず、とんでもない割高な取引値で買い注文が約定したり、反対にひどく割安な取引値で売り注文が約定したりする「板飛び」の危険性を警戒しながらの取引を強いられています。数千万円程度の取引が何ら問題ないどころか億単位の成行一括注文すら可能なS&P500指数ETFとは決定的に違います。
基本かつ王道のETFなのに…
2559は低コストで全世界株価指数に連動し、基本かつ王道を地で行くETFです。投信ブロガーが自らの良心に基づき投資家目線でよいと思う投資信託を選ぶ「投信ブロガーが選ぶ Fund Of the Year」でも、毎年上位にランクインしています。バンガード社やVOOをこよなく愛する有名投信ブロガーのりんり氏は自身のツイッターで「2559は良い商品だし、投信にはできない、おもしろい使い方もいくつかできる」「2559はレバナス（引用者注：レバレッジ型NASDAQ100投資信託）かそれ以上の人気になるポテンシャルは全然持ってると思う」と2559を高く評価した上で、流動性などの弱点や課題を指摘しています。さらに、低コストでまともな全世界株などのインデックス型非上場投資信託を扱っていない対面型証券会社では、貴重な低コストETFです。様々な投資家が安心して取引できるようにしてほしいと切に願います。敢えて健全な形で分配金を得たい層にもニーズはあります。東証の基軸株価指数に連動するインデックスETFは制度上、諸経費を控除した配当・利子のみを原資として分配金が払い出されます。値上がり益や元本を原資とした分配金は認められていません。ただし、最近は東証でも金融派生商品（デリバティブ）取引を駆使して無理やり分配金を出すタイプのETFも出てきています。この手のETFには関わらない方がいいと思います。
オルカンなどとマザーファンド共有
2559はMSCI ACWI（日本含む全世界株価指数）に連動しています。ベビーファンドを通じ、外国株式インデックス、新興国株式インデックス、日本株式インデックスの各マザーファンドに投資しています。外国株式インデックスはMSCIコクサイ・インデックス（日本除く先進国株価指数）に連動しオルカンやeMAXIS Slim 先進国株式などと、新興国株式インデックスはMSCI エマージング・マーケット・インデックス（新興国株価指数）に連動しオルカンやeMAXIS Slim 新興国株式などと、日本株式インデックスはMSCIジャパン・インデックスに連動しオルカンと、それぞれマザーファンドを共有しています。なお、オルカンの純資産総額は２日現在で１兆円を超えています。マザーファンドを共有する他のインデックスファンドも数千億円規模に達するものもあります。2559の２日現在の純資産総額は240億円です。月次レポートによると、３月31日現在で組み入れ上位国は米国57.2%、日本5.4％、英国3.6％、フランス3.0％、カナダ2.8％です。先述の通り、諸経費を控除した後の配当・利子のみを原資とした健全な形で分配金が毎年２回払い出されます。売買手数料は証券会社によって異なります。なお、楽天証券とSBI証券は無料です。運用管理費（信託報酬）は0.0858％です。
コメント