NBERが9月に公表したGoetzmann、Kim、Shillerによるワーキングペーパーが興味深いです。20年以上にわたる投資家調査を使い、「現在市場に参加している人」と「市場から離れている人」の予想を分けて分析しています。結果を見ると、市場から離れている投資家ほど将来の株式リターンを低く予想し、暴落が起きる確率を高く見積もる傾向がありました。特に暴落への恐怖は、期待リターンの違いを考慮した後でも、市場へ参加するかどうかと強く関係していました。ここで面白いのが、「投資家の平均的な心理」と「実際に市場価格を形成している投資家の心理」は同じとは限らないことです。例えば「もう暴落するに違いない」と考えて株式を全部売った人がアンケートに回答すれば、投資家心理は悲観方向へ動きます。しかし、その人はすでに市場から離れており、その後の価格形成には買い手として直接参加していません。つまり、「投資家心理調査が弱気だから株価も下がる」と単純に考えることはできません。むしろ、非常に悲観的な人ほどすでに売却している可能性もあるわけです。これはeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)を積み立てている人にも関係する話だと思います。暴落への恐怖が強まった時に積立を止め、安心できる雰囲気になってから再開しようとすると、結局「いつ市場へ戻るか」という新しい判断が必要になります。
オルカンを続ける
個人的には、市場心理を見て投資額を頻繁に変えるより、「長期分散低コスト」に基づいて、自分が耐えられるリスク量を最初に決めておく方が分かりやすいと思います。悲観論が増えたから売る、楽観論が増えたから買う。それで市場平均を上回るには、降りる時だけでなく戻る時まで当てなければなりません。なお、今回の研究は2026年9月公表のNBERワーキングペーパーであり、現時点では査読を経た最終的な学術論文ではありません。それでも「投資家心理とは、いったい誰の心理を測っているのか」を考える面白い研究だと思います。

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