こんにちは、一部の金融アドバイザーや金融インフルエンサーが50代中盤までの資産形成期は低コストの全世界株式または米国株式のインデックスファンドで運用し、50代後半から60代以降の資産取り崩し期になったら日米の高配当株式または高配当上場投資信託(ETF)に切り替えてリスクを下げたいとコラムや書籍、動画で助言しているのを見聞きします。正直言って、世界の時価総額を一定以上カバーして業種や銘柄分散が効いている基本通りのインデックスファンドから、わざわざ売却益の税金を払ってまで投資対象を高配当株式や高配当株式ETFという特定のカテゴリーに移し替える意味が理解できません。少額投資非課税制度(NISA)ならば売却益に税金がかかりませんが、NISAで投資枠を追加で消費することなく分配金をファンド内で再投資し効率的な複利運用を実現してきたメリットをドブに捨てるのがもったいない限りです。そもそも、個人個人で置かれた状況は異なりますので、年齢で資産形成期か取り崩し期かを判断するのは少々短絡的な気がしてなりません。
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投信を売るのも、配当金を得るのも変わらない

「老後は高配当株式派」がよく主張している理由として、インデックスファンドを取り崩すのは「不安でできなくなる」が挙げられます。さらに、高配当株式や高配当株式ETFならば資産を取り崩すことなく配当金や分配金を得られて「精神的に楽」といいます。そもそも、個人的にはインデックスファンドだろうが何だろうが運用資産は必要になった時に使うためにするもので、どうして取り崩しが不安になるのかが理解できません。さらに言えば、インデックスファンドを取り崩すのも、高配当株式や高配当株式ETFで配当金や分配金を得るのも、細かい計算の違いはあれど「運用資産からの払い出し」という意味には変わりません。インデックスファンドを取り崩せば、取り崩した分だけ運用資産が当たり前ですが減ります。これと同じく、高配当株式や高配当株式ETFも、配当金や分配金を得たら得た分だけ保有資産が減ります。いわゆる「配当落ち」です。どんな銘柄であろうと、逃れられない真実です。なお、長くなるので詳述は避けますが、基本的にはインデックスファンドの取り崩しの方が配当金や分配金の繰り延べ効果の関係から有利になりやすいです。
投信自動売却サービスが効率的かつ楽

今はネット証券などで「投資信託自動売却サービス」もあります。普段は効率的な複利運用を実現しつつ毎月や年1回など事前に設定した定額や定率(定率は楽天証券など一部に限られる)で取り崩せます。一度設定すれば自動です。高配当株式や高配当株式ETFと違い、取り崩し額や率は自分で決められるのも強みに思えます。あと、高配当株式ETFはまだいいですが、高配当株式投資は①銘柄分析②決算確認③投資銘柄に関する日々の情報収集ーが最低限必須です。基本的な決算書を読む力が求められます。個人的には簿記や会計の基本的知識が欠かせないと思っています。最低限日商簿記3級(全商簿記2級)程度の能力は必要だと思います。銘柄分析や決算確認が好きで老後の張り合いになるというならば、効率性は置いておいてそれはそれでいいのかもしれませんが、インデックス投資しかしてこなかった人にとって高配当株式の管理はかなりハードルが高いです。手間がかかるし、めんどくさいと思います。私が以前保有していたごく限られた数の個別株式の分析、確認作業ですら時間が取られて仕方ありませんでした。保有をやめた理由の一つが「管理が超絶めんどくさいから」です(笑)あと、言うまでもないですが、毎月分配型の非上場投資信託のほとんどは①手数料ボッタクリ②元本払戻金が横行③強引に分配金を出すため金融派生商品(デリバティブ)取引を駆使した商品の中身が極めて分かりにくいものも少なくないーで、投資を検討する価値は一切ないと申し添えます。高齢者限定でNISAの投資対象に組み入れる「プラチナNISA」なんて、もってのほかです。
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