こんにちは、投資信託の成績と比較対象になる指数(ベンチマーク)が配当抜き指数になっているため、投資信託が実力以上に指数を上回っているケースが多い問題を取り上げた記事が20日付日経朝刊「マネーのまなび」に掲載されました。積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)対象のインデックスファンドのように分配金をファンド内で再投資していても、上場投資信託(ETF)のように分配金を受け取っていても、投資信託やETFに投資をした成績は値上がり益と配当(分配金)を合算して評価されるものですので、配当込み指数を比較対象とするのが大原則でフェアです。配当抜き指数では公正な評価はできません。
長期になればなるほど差が広がる
詳しい記事の内容は20日付日経朝刊またはリンクに掲載した日経電子版でご覧ください。日経電子版の該当記事は有料会員限定ですが、無料会員でも月1本までは無料で読めます。無料会員で月1本の権利を使っていて読めなければ、楽天証券に口座を開設していれば取引アプリ「iSPEED」の「日経テレコン」のアイコンからも閲覧できます。投資信託には組み入れ銘柄の配当金も入ってくるので株価変動と合わせた資産の総合的な変動率が運用成績の計算の根拠となります。日経の取材に対し、金融庁は「比較対象は配当込みであるべきだ」としています。配当込みと配当抜きの差は長期になればなるほど広がります。日経の記事によると、配当抜きの日経平均は4月末現在、1989年末の最高値に対し7割強程度(3割弱の下落)にしかなっていません。一方、配当込みで比較すれば、すでに最高値を更新し15%ほど上昇しています。東証株価指数(TOPIX)も同様です。
半数超が配当抜き指数を比較対象
日経の記事によると、日本株投資信託のうち、インデックス型の62%、アクティブ型の57%が配当抜きの指数を採用しています。さらに、日本株アクティブファンドと高手数料の先進国株インデックスファンドで、配当抜き指数と比較すれば基準価額が上回っているものの、配当込み指数と比較すれば基準価額が下回っている例を紹介しています。配当抜き指数はアクティブファンドが市場平均に実際は負けているのに勝っていると誤認させたり、高手数料の分だけ市場平均よりも劣後しているインデックスファンドが市場平均より上振れしていると誤解させたりすると指摘しています。配当抜き指数を使っている理由の一つに、配当込みのTOPIXの算出開始が1999年で運用開始が早い投資信託が間に合わなかった点も紹介しています。しかし、足元ではベンチマークを配当込み指数に切り替える動きが出てきていると付け加えています。なお、オルカンなどのeMAXIS Slimシリーズ、楽天インデックスシリーズ、SBI・Vシリーズ、<購入・換金手数料なし>シリーズ、たわらノーロードシリーズといった定番の低コストインデックスファンドはいずれも配当込み指数がベンチマークとなっています。
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