こんにちは、確定拠出年金(DC)やファンドラップ専用、上場投資信託(ETF)を除く国内公募追加型株式投資信託のうち、2023年3月末時点で過去10年間の年平均リターンが対象株価指数(市場平均)を上回ったアクティブファンドの割合は配当除く指数から配当含む指数に変更すると激減しました。ウェルスアドバイザー(旧モーニングスター)が調査確認し報じました。国内株式ファンドは配当除く指数を87.3%が上回りましたが、比較対象を配当含む指数に変えると18.2%と割合が大幅に激減しました。先進国株式ファンドは配当除く指数を17.9%が上回ったのに対し、配当含む指数をわずか3.6%しか上回りませんでした。新興国株式ファンドは配当除く指数を75.8%が上回ったものの、配当含む指数を上回ったのは25.8%にとどまりました。アクティブファンドにせよ、後述するインデックスファンドにせよ、比較、連動対象とする株価指数は多くの場合、配当込み指数が適切で配当除く指数は極めて不適切です。いずれにしても、まっとうな投資信託で配当除く指数と比較するのが適切な商品は一切ありません。
市場平均への勝利を取り繕う
ウェルスアドバイザーによると、アクティブファンドの過去10年リターンで市場平均を上回った割合を調査する上で、比較対象を国内株式ファンドは東証株価指数(TOPIX)、先進国株式ファンドはMSCIコクサイ、新興国株式ファンドはMSCIエマージング・マーケットとしました。対象株価指数を配当除く指数にすれば分配金が指数に含まれないため、指数への勝率が確実に高まります。分配金をファンド内で再投資して複利運用をし、運用期間が長期になればなるほど顕著になります。配当除く指数と比較しているアクティブファンドは市場平均への勝利を取り繕ろうとしていると言わざるを得ません。
インデックスファンドも配当含む指数が適切
配当除く指数が連動対象として不適切なのはインデックスファンドも同じです。常に株価指数に対し上振れが出やすくなり、正しい比較が難しくなります。分配金を出さずに配当金をファンド内で複利運用をしていたり、運用期間が長期になったりすれば一層はっきりします。手数料が高かったり、運用がうまくいっていなかったりするインデックスファンドの成績かさ上げに悪用しているのではないかと勘繰りたくもなります。常に上振れが出やすいということは、指数を上回る形での乖離(トラッキングエラー)が出やすいという意味でもあります。インデックスファンドは運用成績が指数に小さく誤差で連動するのがいい商品です。ただ、eMAXIS Slimシリーズなど低コストインデックスファンドシリーズの多くは配当含む指数を連動対象としています。そして、運用会社は配当含む指数に連動対象を変更する動きが出てきています。
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