日経朝刊と日経電子版に、全世界株式インデックスファンド(オルカン)の問題点を指摘するコラムが掲載されました。確かにオルカンを預貯金のように考え、全財産を投じるのは当然違います。ただ、記事で挙げられた論点には、商品単体と家計全体の資産配分が少し混同されているように感じました。まず「オルカンに債券が入っていない」という点です。これは欠点というより、そもそもオルカンが株式インデックスファンドだからです。債券が必要ならば、個人向け国債変動10年やMRF、普通預貯金などを別に持てば済みます。一本の投資信託に株式も債券も全部入っていなければ分散できない、という話ではありません。
勝者と敗者を読まずに済む
詳しいコラムの内容は上のリンクからご覧下さい(有料記事)。国内金利が上昇して債券の魅力が高まった点には同意します。ただし、それは「オルカンをやめて国内債券へ」という話ではなく、リスク資産と無リスク資産の配分をどうするかという問題です。米国株が6割超を占めることも、時価総額加重平均型の指数では現在の世界市場をそのまま反映した結果です。米国株が割高に見えるから比率を下げるなら、代わりにどこの国を増やすかを自分で決めなければなりません。それは市場平均から離れ、自分自身で将来の勝者と敗者を予想する運用になります。予想PERが長期リターンと一定の関係を持つとしても、それだけで今後どの地域が優位になるかを正確に判断できるわけではありません。円高になれば円換算リターンが下がるという指摘もその通りです。しかし、逆に円安なら上がります。為替の方向を事前に読み切れないからこそ、私は株式部分では世界中へ分散し、安全資産は円建てで持つ方が分かりやすいと思います。上位10銘柄の比率が2割を超えることも事実ですが、それは「2500銘柄への分散が意味をなさない」という話ではありません。巨大企業への集中は時価総額加重の弱点である一方、成長して時価総額を増やした企業を自然に多く持ち、頻繁なリバランスを避けられる強みでもあります。
家計全体で資産配分を

シニア世代に高配当株やJ-REIT、小型株を勧める部分には、むしろ慎重でありたいです。高配当だから安全なわけでも、J-REITだから値動きが小さいわけでもありません。小型株やベンチャー企業なら個別リスクはさらに大きくなります。取り崩し期だからといって、わざわざ複雑な商品へ乗り換える必要はないと思います。結局、「オルカン一択」が何を意味するかです。金融資産の100%をオルカンにするという意味なら、ちょっと冷静になってとも感じます。しかし、リスク資産部分をオルカン一本にするという意味なら、十分合理的です。大切なのは商品を増やすことではなく、受け入れられるリスクの範囲内でオルカンなどのリスク資産と、個人向け国債やMRF、預貯金などの無リスク資産の配分を決め、それを守り続けることです。「オルカンだけでは足りない」と商品を足していくより、家計全体で資産配分を考える方が本筋だと思います。

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