個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金(企業型DC)で、定期預金をはじめとする元本確保型商品は以前ほどではないとはいえ人気を集めています。企業年金連合会の調査によると、特に企業型DCは資産残高、掛金ベースともに元本確保型商品の割合は依然として4割を超えています。確かに定期預金は極めて低いリスクで安定した運用ができます。最近では金利も上がってきました。しかし、①現金が実質的に目減りするインフレに極めて弱い②利回りが極めて低く各種手数料に負けてしまう(特にiDeCo)③期待リターンが極めて低く運用時に税制優遇を十分に受けられないーなどのデメリットがあります。掛金が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、定期預金のデメリットを理解した上で超低リスクで運用できればいいというならば基本的には問題ないと思います。ただ、企業型にせよ、iDeCoにせよ、DCの預貯金には他にも落とし穴があります。
ペイオフで弁済後回しの公算大

DCの預貯金も通常の普通預金や定期預金と同様に預金保険制度(ペイオフ)の対象です。金融機関が破綻時に預金者1人当たり、元本1,000万円とその利息・利子が保護されます。ただし、1金融機関内で複数の口座(DCの預貯金も含む)を保有していた場合、名寄せ(合算)されます。預金保険機構の該当ページには「確定拠出年金の積立金の運用に係る預金等は、確定拠出年金の加入者等ごとの預金等とみなして保護の対象となりますが、付保預金の特定においては、加入者個人の預金等を優先します」と記載があります。つまり、通常の普通預金、定期預金とDCの預貯金を合算して通常の普通預金や定期預金の弁済が優先され、DCの預貯金の弁済は後回しにするという意味です。基本的にDCの預貯金は弁済順位が最も低いと考えて間違いありません(一応、担保預金よりは優先されます)。合算した元本が1,000万円を超える場合、金融機関破綻時にはみ出た分のDCの預貯金から保護対象外となりやすいです。確かにDCに預貯金を提供している金融機関が破綻することは、現状でまず考えにくいです。そこまで神経質にならなくてもいいかもしれません。しかし、DCで預貯金を運用するならば「ペイオフ対象の口座の中でDCの預貯金は弁済順位が通常の預貯金よりも低い」ということは頭の片隅に入れた方がいいと思います。DCで預貯金を運用するならば、同じ金融機関の預貯金と合算して1,000万円を超えていないことを確認をするのが賢明だと思います。なお個人的に預貯金はDCでの保有には向いておらず課税口座で流動性を何よりも最優先するという立場です。

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