こんにちは、「2025年も『オルカン・S&P500』のままでいいのか?」と題したコラムが日経電子版に掲載されました。時価総額加重平均型の全世界株価指数に連動するeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)や米国主要500社に時価総額通りに投資するeMAXIS Slim 米国株式(スリムS&P500)が国内投資信託で圧倒的な人気を集めており特にオルカンは王道であるとした上で、「時価総額に応じた比率で配分が決まることによって、組入銘柄が偏っている」という懸念点があると主張しています。対案として、日本を除く先進国株価指数の投資信託と日本株式と新興国株式の投資信託を持ったり、オルカンやスリムS&P500に、米国配当貴族指数投資信託を組み合わせたり、金とS&P500指数を半々ずつ組み合わせる投資信託を選んだりするのがいいとうたっています。恐らくはポジショントークで無理やりいちゃもんをつけたなという感想です。ツッコミどころが満載です。このコラムに真っ向から反論してしまい恐縮ですが、リスク資産はオルカン1本でいいです。(まあ、スリムS&P500もそんなに違いはないのですが、以下リスク資産運用の基本かつ王道であるオルカンで議論を進めます)。
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相場を読むのは困難
詳しいコラムの内容は上のリンクからご覧ください。まず、オルカンの65%が米国株式である点を偏りがあると日経電子版のコラムで述べていますが、時価総額加重平均型の全世界株価指数に連動している以上、その時、その時の世界の市場の評価・判断の総和(市場平均)にほぼ忠実に基づきます。米国株式が他の国・地域に比べて上昇すれば米国株式の比率が上がり、米国株式が相対的に下落すれば、米国株式の比率は下がっていきます。それだけの話です。私を含めた多くの個人投資家が株式市場の相場を読んで投資するのは困難です。個人投資家よりもはるかに専門的知識を身に着け、多くの情報を得ている機関投資家のアクティブ投資の成績がほとんど市場平均投資(インデックス投資)に負けている点からも証明できます。事実、アクティブファンドの成績はインデックスファンドに対して8~9割以上負けているという複数のデータがあらゆるところから出ています。オルカンの65%が米国株式であるのが偏っているかどうかは判断できないし、市場平均を受け入れるのが合理的だといえます。偏っているかどうか判断できない以上、時価総額加重平均型が偏りの原因とする話は筋が通らなくなるといえます。対案にある先進国株価指数に日本株式や新興国株式を併せ持つぐらいならば、最初からオルカンを買った方が手っ取り早いとしか思えません。米国配当貴族指数やゴールドを混ぜるのも、個人投資家レベルでは効率が悪いと思います。株式に別の資産を混ぜてリスクを下げたいのならば、無リスク資産を持てば済む話です。
オルカンと個人向け国債変動10でいい
リスク資産はオルカンのみ、無リスク資産は個人向け国債変動10年(または普通預貯金)のみがシンプルかつ運用コストを抑えられ、資産配分を守りやすいです。個人向け国債は預貯金よりも安全で一般に利回りが高く、通常の債券とは異なり金利変動による元本変動がありません。しかも、変動10ならば半年に一度、長期金利に連動して変動します。昨今の金利上昇局面でも、債券価格の下落がなく金利が一定程度追随して上昇します。長期金利がゼロやマイナスの局面でも、最低金利年0.05%が保証されています。財務省が元本を保証しているため、デフォルトしない限りは全額元本確保されています。預けた金額は全額分別管理の対象となります、仮に金融機関が破綻しても原則全額保護されます。しかも、外国債券と違い、為替リスクがありません。オルカンの分散投資先として、おおむね適切ではないかと思います。
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