こんにちは、少額投資非課税制度(NISA)が模範とした「先輩」としても知られている英国の個人貯蓄口座(ISA)で、株式や債券の利益が非課税となる株式型ISAに占める英国株式の割合が29%にとどまり、米国株式など英国外株式が人気となっています。日経電子版が報じました。報道によると、3月に当時の保守党政権が年間2万ポンド(約380万円)の非課税枠に5,000ポンド(約95万円)を上乗せし、追加分の投資先は英国企業に限定する改革案を掲げていました。しかし、7月の政権交代を受けて新与党の労働党が改革案を撤回する方向で検討していると現地メディアで報じられています。個人的に英国は保守党、米国は共和党を原則として支持しているものの、ISAを英国企業=自国企業に限定する保守党案は愚策としか思えません。撤回方針を掲げた労働党がこの件に関しては至極まっとうな判断です。リスク資産運用の大原則「長期分散低コスト」からも、リスク資産の税制優遇を自国資産に限定するのは筋が通らず、個人の資産形成に不利益につながりかねないと強く主張します。日本でも一部の金融専門家(笑)、金融インフルエンサー(笑)が「NISAの日本株式限定枠」(笑)を導入せよと声高に叫んでいますが、馬耳東風に伏せるべきたわごとにしか感じません。金融庁や日本政府も現行では日本株式限定枠の導入を「無理」「邪道」と切り捨て、検討すらしていません。極めて妥当な判断です。
楽天証券広告
「長期分散低コスト」に反する制度は不要
詳しい記事の内容は上のリンクからご覧ください(有料会員限定記事)。楽天証券に口座を開設し、取引アプリ「iSPEED」をダウンロードすれば日経テレコンからも一定期間読めます。報道によると、ISAだけでなく、日本でも投資信託の資金流入額ランキングを見ると海外株式に投資する投資信託が上位を占めています。ただ、ISAにせよ、NISAにせよ、十分に自国バイアスはかかっています。世界の時価総額(市場平均)の比率と比較すれば自国株式は大きくオーバーウエートしており、十分すぎる人気を集めています。記事でも専門家が指摘していますが、自国株式に投資をしてほしいならば企業価値を高める努力が必要です。税制優遇制度に頼るのは全くもって筋違いも甚だしいです。そもそも、「長期分散低コスト」に反する税制優遇制度は個人の資産形成をしていく上で不要です。はっきり言って、税金の無駄遣いです。ちなみに、ISAには株式型に加え、銀行預金の利息が非課税になる預金型など計4種類の制度があります。合計の年間投資枠は2万ポンドに上ります。株式型の投資比率は4割弱にとどまり、6割が預金型が占めています。英国は預金金利が日本よりも当然高いですが、現地の専門家からは「リスクの預金に税制優遇をしても富が生まれない」と指摘されています。預金型と株式型の統合を求める声も上がっています。NISAの投資対象を原則、株式などのリスク資産に限定している日本の方がこの点は実は合理的だと思います。
コメント