こんにちは、当ブログでおなじみのド正論経済評論家山崎元氏が「『時価総額の回避』で資産運用が歪(ゆが)む理由」と題した記事を楽天証券コラムサイト「トウシル」に記しました。米国のシリコンバレー銀行(SVB)などの破綻は債券投資で損失を抱えた状態で資金が流出し、持ちこらえられなかった共通点があると指摘。含み損を抱えた債券ポートフォリオの債券は「満期保有」を前提にし銀行の会計上時価評価による損益のぶれを反映させなくていいことになっている問題点を指摘し、「時価総額回避の病」と名付けています。さらに「時価総額回避の病」は個人投資家にも「発症例」があり、配当金や分配金、株主優待をことさらにありがたがり、時価評価を避けているケースが見受けられると指摘しています。耳が痛い法人や個人がいるかもしれませんが、全くもってケチのつけようのないド正論だと思います。
時価評価耐性を身に付けよ
山崎氏のコラムの詳しい内容は上記トウシル該当記事リンクからご覧ください。金融機関が手を染めた「時価評価回避」の悪用方法の手口も記されています。山崎氏は運用期間途中の債券価格の変動は運用の経済実態を反映しており毎期の収益のぶれに一喜一憂しないという身勝手な態度よりも「現実を正しく見ておくことの方が運用管理としてははるかに誠実で健全」と訴えます。債券を買った時よりも格付けが低下することもありうるし、運用判断として売却を迫られることもあろうし、最終的にデフォルトすることもあると付け加えています。「時価評価の回避には一片の正当性もない」と断じています。個人投資家でも、配当金や分配金を重視し時価での部分解約を回避したがることによる運用効率の低下やそもそもポートフォリオの時価をよく見ようとしない「現実回避」がしばしば見られると述べています。優待ばかり見て歪んだポートフォリオのケースもあると付言します。私も山崎氏が指摘する話は、一部の高配当株投資家や優待投資家に見て取れると感じてなりません。「毎月分配型の金融派生商品(デリバティブ)ETFにほったらかし投資」「新NISAは成長投資枠で高配当株投資」「出口戦略でインデックスファンドを取り崩すのは心理的負担があるので自動で分配金を得られる形にすべき」なんていう意見を言っている書籍や意見は全くもって合理性を欠いていると思います。山崎氏は「損得はお金で済む話なのだし、人生には証券価格の変化以上のリスク要因がたくさんある。読者には証券価格を常に時価評価して何とも思わないくらいの『時価評価耐性』を是非身につけてほしい」と訴えています。銀行の不良債権問題も、証券会社の「飛ばし」も、バーナード・マドフの巨額詐欺事件も、「ワインファンド」のようなインチキ投資案件も、時価総額の回避やごまかしが生じていると付け加えています。私も含め、山崎氏の今回のコラムは肝に銘じたいと思います。
コメント