こんにちは、近く日本初とされるレバナス投資本「米国株『レバナス』投資 月1万円の積み立てから狙う”悪魔的リターン”」が発売されるようです。著者はレバナス投資を動画内で強く勧めている某インフルエンサーのようですが、全く存じ上げないお方です(笑)レバナスは米国のハイテク株価指数NASDAQ100指数の日々の2倍の成績を目指す投資信託です。様々な運用会社から発売されていますが、ファンド内でNASDAQ100指数先物に投資しています。株価指数先物は金融派生商品(デリバティブ)の一種です。つまり、レバナスはデリバティブ取引を駆使した投資信託ということです。
レバナスは一種外務員しか扱えない
証券外務員のうち、レバナスや仕組債などのデリバティブ取引を取り扱えるのは日本証券業協会が実施している一種外務員試験に合格し、金融機関に所属するなどし国から登録を受けた一種外務員だけです。信用取引ならば、一種外務員に加え信用取引外務員も取り扱いができます。二種外務員でも同じ会社の一種外務員や信用取引外務員が同行していれば注文を受ける(受託)できます。デリバティブ取引はたとえ一種外務員が同行していても二種外務員や信用取引外務員が受託することはできません。一種外務員は証券外務員試験の最上位資格です。金融商品取引法など関係法令、協会定款、取引所定款、株式、債券、投資信託、投資法人の各業務、証券市場の基礎知識、株式会社法概論、経済・金融・財政の常識、財務諸表と企業分析、セールス業務に加え、デリバティブ取引に関する知識や計算問題が試験範囲となっています。
気軽に買うのは疑問
日本証券業協会は少なくとも、レバナスなどデリバティブ取引を扱える証券外務員を最上位試験に合格し登録を受けた一種外務員のみに制限しています(今回は現実問題として一種外務員が職業上の良心に基づき、顧客に適切な商品を提案して販売しているかどうかの議論は置いておきます)。つまり、売り手側の組織はレバナスの取り扱いには一定の制限を設けています。また、金融庁はレバナスは短期売買向けで、長期の資産形成に適さないと指摘しています。手数料が高く、下げ相場や上下を繰り返すボックス相場では想定以上の損失が出る可能性が高まります。厳しいことを言うようですが、レバナスは気軽に手を出していい金融商品ではありません。
最低でもデリバティブ取引を理解してから
筆者はレバナスは多くの投資家にとって不要だと考えています。どうしてもレバナスに投資をしたいならば少なくとも、証券外務員一種試験で問われるデリバティブ取引の部分はしっかりと理解してからでないと手を出すべきではないと考えています。筆者個人はレバナスは投機(スペキュレーション)と考えており、長期の資産形成に向いているとは思えません。ただ、デリバティブ取引でもレバナスのようなスペキュレーションではなく、異なる市場間の価格差を利用して利ザヤを狙う裁定取引(アービトラージ)や保有している資産の価格変動リスクを回避するヘッジ取引ならば、一定の意味はあると思います。それでも、ほとんどの個人投資家はアービトラージやヘッジ取引を意識して取り入れる必要はないと感じています。
楽天証券は日本株、米国株ともに取引手数料が最安です。取引手数料や購入手数料が無料の上場投資信託(ETF)もあります。投資信託は全商品購入時手数料が無料で、積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)対象の低コストインデックス型投資信託を多数そろえています。
「レバナス」投資本を読む前に…
証券外務員一種は金融機関勤務者以外も試験を受けられ、合格すると一種外務員の資格を得られます。ただし、金融機関に所属するなどして国から外務員登録を受けないと外務員として働くことはできません。それでも、試験勉強や資格取得を通じ、株式や債券、投資信託、経済、企業分析、デリバティブ取引などに関する一通りの基礎知識を得ることができます。筆者個人はブログを執筆していく上で、勉強して良かったと思っています。ちなみに、一種外務員の資格は持っていますが、現状必要がないので外務員登録を受けていません。一番いいと思うテキストと問題集を紹介します。最新法令に対応している9月発売の2022~2023年版を購入した方がいいと思います。
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