こんにちは、きょうは外国為替証拠金取引(FX)を取り上げます。株式投資は企業の生産活動への資金参加です。企業が資金を元手に利益を出して拡大していけば、投資家は配当や値上がり益を得ることができます。世界経済全体は長期的に右肩上がりで成長してきました。米国株や全世界株のインデックスファンドへの長期投資は投資家全体で見ても大きなプラスになっています。しかし、FXは短期でも長期でも投資家全体でプラスマイナスゼロになる「ゼロサムゲーム」です。手数料や税金を考慮しするとマイナスになる「マイナスサムゲーム」です。マイナスサムゲームの代表が競馬やパチンコ、宝くじといったギャンブルです。
世界最大のオンラインカジノ
- 利益の奪い合い
- 福本漫画の世界
外国為替市場はドル/円やドル/ユーロ、ユーロ/円などがあり、絶えずレート(交換比率)が変動しています。例えばドル/円市場で自分がドルが上がると賭けた場合、市場の反対側にはドルが下がる(円が上がる)ことに賭けている人がいます。2人の損益の合計はゼロです。この場合、ドルが上がれば自分が勝ち、円が上がれば相手の勝ち(自分の負け)です。丁半ばくちやカジノのルーレット、コインの表裏を読むゲームと本質は同じです。市場全体で考えても利益と損失の和が等しくなります。つまり、ゼロサムゲーム(税金や手数料を考えるとマイナスサムゲーム)です。長期で考えるとどうでしょうか。2国間の為替はそれぞれの通貨の購買力や金利などに応じて決まります。あくまで2国間の通貨を取り巻く状況に応じてバランスを取り合っていくものであり、株式投資のように市場全体で成長する性質のものではありません。ドル/円のように一定のレンジ(範囲)を行ったり来たりするケースがある一方で、トルコリラ/円のように一方的に動く場合もあります。いずれにせよ、丁半ばくちのような性質は何ら変わりません。確かに結果を出している一部の専業トレーダーがいることは否定はしません。ただ、普通の人が真似できる代物でなく、再現性は全くありません。FXは福本伸行氏の漫画の世界で、敗者には一切情け容赦のない世界です。「アカギ」や「鷲津」みたいな天才、鬼才が利益を得て、大多数が負ける世界です。手痛い負けを喫したり、借金を抱えたりしたとしても「カイジ」のように「悔しい、だが、それでいい」という超勝負師の性格の人以外は近づかないのが無難だと思います。
誘い文句
- 自動売買ソフト
- スワップ・ポイント
FXには自動売買ソフトがあります。しきりに勧めてくるブロガーやユーチューバーもいます。彼らは本当に自動売買ソフトで稼いでいるのでしょうか。確かに稼いでいるでしょう。ただし、自動売買ソフトでFXをした結果というよりは、アフィリエイトで稼いでいるといった方が正確でしょう。FX関係のアフィリエイトは単価が高いです。FXアフィリエイターは①FXで高い勝率※を記録する(必ずしもプラスという意味ではない)②高い勝率をうたい文句に自動売買ソフトを売ったり、口座を開設させたりする③他人にリスクを背負わせ不労所得-となるわけです。本当にFXで稼いでいる一部の天才ならば、アフィリエイトをするより自分で稼いだ方が早いので他人には教えません(そんな暇があるなら自分で相場で取引した方が早いと考えるでしょう)。FXアフィリエイターは誰よりもFXが難しく、厳しい世界であることを理解しています。だからこそ、他人に口座を作らせたり、自動売買ソフトを売ったりするのです。Twitterで投資の話をしたり、リツイートをしたりしている人は「FXの自動売買で不労所得を得ています」「〇〇システムのFXソフトでこつこつ資産形成」などといったうたい文句の人からフォローされたことがあると思います。反応すれば自動売買ソフトや口座開設を持ち掛けてきます。この手のソフトの最大の問題は相場が急に動いた時に損失が大きくなる危険性が高い点です。相場が急に動く状況はFRBの政策金利発表などある程度予想できるとする意見もありますが、2015年のスイスフランショックのようにいつ来るか分からない大きな為替変動があります。大きな為替変動時には自動売買ソフトに組み込まれている損切りシステムが間に合わず、深刻な負債を抱える恐れがあります。これがFXの必敗パターン「コツコツドカン」です。
※早く利益確定するように設定し、勝率を高く保つ手法。ドル/円など主要通貨間は基本一定のレンジ内のボックス相場で、勝率を高くすれば基本勝てる。しかし、トータルで勝てるわけではない。例えば勝率90%と設定して90勝の平均リターンが1万円でも、10敗の平均損失が10万円であれば90-100=-10万になる。この場合でも「勝率9割」は事実であり、FXアフィリエイターはその点を強調してセールスが打てる。
高金利通貨を買うと日本円との金利差から利息のように「スワップ・ポイント」が入ります。一見、安定的な収入を得られるように見えますが、高金利通貨の多くは通貨の信用が低く、高いインフレ率で通貨の価値が下落しています。長期的には金利差は為替レートの変動で調整されてしまいます。このことは通貨の先渡しレートを見ると分かります。例えば円を売って高金利で知られるトルコリラを買った場合を見ます。この時、1年後にトルコリラ売却して円に戻す為替レートを決める場合、金利差に相当する分だけ円高水準で決定されます。高金利の通貨が儲かるというわけではないのです。つまりスワップ・ポイント狙いの為替投資は成立しないということです。スワップポイント狙いもFXの必敗パターン「コツコツドカン」の餌食になりやすいです。
FXで資産形成は困難
FXの仕組みを理解し、自宅でできるカジノとして少額で楽しむ分には悪いとは思いません。時にはガス抜きや刺激は必要です。しかし、FXは長期投資や資産形成には全く適していません。初心者が口座を開設する必要は全くないと思います。筆者はガス抜きの手段としてもFXを必要としていないので、口座を開設していません。今後も人に勧めることはありません。
このブログに来てくださり、最後まで読んでくださりありがとうございます。FXは短期的に一発狙いで「億り人」を狙う手段としての可能性はあります。ただ、大負けする可能性が圧倒的に高く、筆者としてはお勧めできません。株価暴落時でも勝てるという理由でFXをするのも得策ではないです。FXはどんな時でも勝てる確率は税金や手数料を考慮すれば半分以下です。一方で株式投資は長期で残り続ければ報われる可能性は高いです。暴落時は長期的に見ればリバランスを兼ねた株式買い増しも有効です。FXは「こつこつ」「長期投資」「資産形成」とは最も遠い手段であると最後に申し添えます。
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