MSCIの最新データを見ると、同じ「インデックス運用」でも中身はかなり違うことが分かります。世界の大型・中型・小型株を幅広く保有するMSCI ACWI IMIの直近12カ月の売買回転率は2.60%でした。これに対し、人工知能(AI)、次世代インターネット、ゲノム、エネルギー転換などの成長テーマを取り込むMSCI ACWI IMI Accelerating Change Indexは24.86%です。単純比較すると約9.6倍になります。後者の構成銘柄数は517銘柄です。なぜ、これほど差が付くのでしょうか。MSCI ACWI IMIのような時価総額加重型の広範な指数では、企業の株価が上昇して時価総額が大きくなれば、その企業の指数内ウェイトも自然に上昇します。「値上がりしたから元の配分に戻す」という売買を基本的には必要としません。同指数は先進国・新興国の大型株から小型株まで8,000銘柄超をカバーし、世界の投資可能な株式市場の約99%を対象としています。一方、テーマ型指数は、その企業が対象テーマにどの程度合致しているかという条件があります。産業構造や企業の事業内容、テーマへの関連度が変われば、指数の構成銘柄も入れ替える必要があります。つまり「これから伸びそうな分野を指数で選ぶ」という仕組みを加えるほど、広範な市場平均より売買は増えやすくなります。
売買回転率が上がればコストはかさみやすい

ここで注意したいのは、24.86%という数字は運用コストではなく売買回転率だということです。24.86%もの手数料が取られるわけではありません。ただ、売買回転率が高ければ、一般論として売買コストや指数への追随に伴う負担は増えやすくなります。個人的には、この数字を見ると「インデックスファンドなら全部ほぼ同じ」という考え方はかなり雑だと思います。テーマ型はルールに従うパッシブ運用ではありますが、特定の成長分野を選別するという意味では、市場全体をそのまま持つ指数よりかなり積極的な性格があります。「長期分散低コスト」を基本にするなら、私はやはり時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンドで十分だと思います。テーマを当てる必要がなく、成長した企業は自然に比率が増え、売買も少なくできる。売買回転率2.60%という数字にも、その仕組みの合理性が表れていると思います。

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