日本の10年国債利回りが9月1日に3.0%へ到達しました。約30年ぶりの水準です。一方、MSCI ACWIの配当利回りは7月末時点で1.59%でした。数字だけ並べると、「元本償還がある国債3%の方が、値下がりもある株式1.59%よりいいのでは」と思いたくなります。人間は数字が二つ並ぶと、すぐ大きい方を勝者にしたがります。ただし、この比較はそのままでは適切ではありません。国債の3%は満期まで保有した場合の最終利回りに近い概念です。一方、株式の1.59%は配当利回りにすぎません。株式のリターンには配当だけでなく、企業利益の成長、自社株買い、株価評価の変化なども含まれます。反対に国債は、満期まで持てば利回りをある程度固定できますが、企業のような利益成長はありません。途中で売却するなら国債価格も金利変動の影響を受けます。
それでもオルカンを買う理由

それでも、今回の金利上昇はかなり重要だと思います。少し前まで国内の安全資産ではほとんど利回りを期待できませんでした。ところが国債利回りが3%近辺まで上昇すると、株式100%で運用することの機会費用は明確に大きくなります。株式へ投資する以上、安全資産より高い期待リターンが欲しいのは当然です。無リスクに近い資産で一定の利回りを確保できるなら、「それでも株式の大きな値下がりリスクを引き受ける価値があるか」という判断は以前より重要になります。だからといって、オルカンを売って国債100%にするという話でもありません。個人的には「長期分散低コスト」に合致する時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンドをリスク資産の中心にしつつ、個人向け国債変動10年や普通預貯金、MRFなどの無リスク資産を組み合わせれば十分だと思います。金利のある世界が戻ってきたことで、資産配分の選択肢はむしろ良くなりました。オルカンか国債かの二択ではなく、受け入れられるリスクの範囲内で両方を持つ。その方が自然だと思います。

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