金融庁が公表した「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」に、低コストの全世界株式インデックスファンドを選ぶ際の注意点として、かなり興味深い指摘があります。信託報酬が低くても、実際の運用成績がベンチマークから大きく下振れする商品があるという話です。金融庁によると、米国籍の上場投資信託(ETF)をファンド内部に組み入れるタイプの全世界株式インデックスファンドの一部では、実質信託報酬が年0.1022~0.178%と一見かなり低コストでありながら、3年間で約2%、設定来では約15%ベンチマークを下回る商品が複数あったとしています。原因の一つとして挙げられているのが税コストです。米国外の株式から受け取る配当に現地課税がかかった後、米国籍ETFからファンドへ分配される際に10%の米国源泉課税が発生する場合があります。いわば税金が二重に効いてしまう構造です。商品によっては、この税コストだけでベンチマークとの差の40~50%程度を説明できたとしています。厄介なのは、このコストが通常の信託報酬や総経費率だけを見ても分かりにくい点です。人間、数字が小さいとすぐ「安い!」と喜びますが、金融商品はそんなに素直ではありません。
実質コスト確認を

一方、米国籍ETFを内部に組み入れない信託報酬年0.3%以下の全世界株式インデックスファンドでは、金融庁の試算上、3年間のベンチマーク下振れは0.1~0.9%程度でした。もちろん、eMAXIS Slim 全世界株式自身が3年間で2%も指数から乖離しているという話ではありません(オルカン自体は米国籍ETFを内部に組み入れておらず、トップクラスに優秀な水準でベンチマークに沿って運用しています)。問題になっているのは特定の商品構造です。投資信託を選ぶ際は、信託報酬だけでなく、ベンチマークとの差、いわゆるトラッキング差や実質的な運用コストも確認した方がいいです。同じ指数への連動を目指す商品なら、最終的にどれだけ指数についていけているかが重要です。低コスト競争が進んだ今だからこそ、「表示されている手数料が最安」というだけで飛びつかないことが大切だと思います。

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