年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2024年度の運用状況が公開され、収益率は0.71%(複合ベンチマーク比プラス0.09%)で収益額は1兆7,334億円でした。GPIFが発表しました。GPIFによると、2001年度の自主運用開始以降の23年間の年平均収益率は4.20%で、累積収益額は155兆5,311億円にも上ります。なお、運用資産は249兆7,821億円です。2023年度のような大きな収益率とは行きませんでしたが、複合ベンチマークに沿った運用をしていると評価できます。自主運用開始以降の年平均収益率は長期的な運用目標を上回っています。運用方針と資産配分を守った上で長期分散投資を続け、着実な成果を出していると思います。25%程度ずつ投資するとしている4資産別に見ると、国内債券がマイナス4.47%でしたが、外国株式が6.62%とけん引しました。複数の資産に分散した効果が出ているとみていいと思います。
運用管理費用年0.01%


GPIFによると、実質的な年平均収益率(名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた実質運用利回り)は3.99%で、目標実質利回りをしっかり上回っています。GPIFが負担している管理運用委託手数料(運用管理費用)は373億円で運用資産全体に対し年0.01%です。世界最安水準とされる米国の低コスト上場投資信託(ETF)のバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)の運用管理費用が年0.03%よりもさらに安いコストで運用しています。長期、分散、低コストを徹底して実現しているGPIFの運用の考え方は長期投資をしていく上でお手本となり、個人投資家にとっても多くの学びを得られると思います。
オルカンと個人向け国債でOK


GPIFは分散投資したうえで適切なリスクで長期的なリターンの獲得を目指す基本的な運用方針に加え、日本の巨大機関投資家として重大な役割も担っているとみられます(公言はしていません)。そうした事情もあって株式のうち50%を日本株に割いているとされていますが、日本の巨大機関投資家でも何でもない個人投資家がリスク資産を日本株式中心とする配分をまねる必要は全くないと考えます。株式は時価総額加重平均型の低コスト全世界株インデックスファンド(端的に言えばeMAXIS Slim 全世界株式<オルカン>)、債券は個人向け国債変動10年(変動10)だけでいいと思います。シンプルで分かりやすい形で、長期、分散、低コスト投資を実現できます。
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