こんにちは、日経編集委員で「日経の良心」として知られている田村正之氏が「お門違いのNISA『日本枠案』投資先、決めるのは国民」と題したコラムを日経電子版に寄せました。金融庁の審議官や識者の声を紹介しつつ、少額投資非課税制度(NISA)の「日本枠」案は不合理極まりないと切り捨てています。さらに、NISAの生涯投資枠1,800万円の一部を日本枠に振り分け、海外に投資できる枠が減らされるのは最悪だと付け加え、国際分散投資に目覚めて資産を増やし始めた投資家のNISAへの信頼感は根本から崩れるであろうと警告しています。何に投資するかは国民自らの選択で、国際分散投資で国民が豊かになれば、消費の活性化を通じた企業の利益増も期待できると訴えています。当ブログで繰り返し主張してきた通り、田村氏の意見に全面的に同意します。一人でも多くの人に、今回の田村氏のコラムを読んでいただきたいです。NISAの日本枠案がいかに不合理で、身勝手で、リスク資産運用の基本から逸脱した話であるか分かると思います。一般の個人投資家はともかく、金融の専門家や金融インフルエンサーで日本枠案を唱えている人は「恥を知れ」と言われても仕方がないと思います。
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「長期分散低コスト」から外れるな
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田村氏の該当コラム(有料会員限定記事)
詳しい記事の内容は上のリンク(有料会員限定記事)からご覧ください。楽天証券に口座を開設し、取引アプリ「iSPEED」内にある日経テレコンからも一定期間読むことができます。田村氏は2024年9月までのNISAでの買い付け額や同期間の日銀の資金循環統計の結果を示しています。英国の個人貯蓄口座(ISA)で英国株式枠導入案が一度提案されたが、専門家から反対意見が相次ぎ撤回された話も紹介しています。「優遇頼みの発想が日本経済の競争力を失った」とした上で、日本株式が長期運用の対象として信頼を得ることが先決だとする証券会社の識者の声を紹介しています。さらに、金融庁の審議官による資産運用の観点から合理的でない制約を課すと「NISAの魅力を失わせかねない」という警告も記しています。確かに現状では金融庁や政府はNISAで日本株式限定枠を導入する考えは一切ありません。現行NISAが導入される前の与党内や国会審議でも日本枠に対し「無理、邪道」という結論が下されています。しかし、田村氏のコラムにある通り、証券業界などからNISAに日本枠創設案を求める声が聞こえてくるようになりました。一部の金融専門家や金融インフルエンサーも目的は分かりませんが、こうした動きに乗っかっているように見受けられます。リスク資産運用の原則は「長期分散低コスト」です。原則に合致しているのは、時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンドといった国際分散投資ができる低コストインデックスファンドです。日本株式は個別株式はもちろん、東証株価指数(TOPIX)といったインデックスファンドでも「分散(国際分散)」の原則に真っ向から反します。国民の資産形成を支えるNISAでこうした自国資産優遇枠を設ける必要はなく、むしろ原理原則に反した有害で悪い制約であると断言していいです。仮に現行の生涯投資枠に追加する形で導入するとしても、日本枠であるならばただの税金の無駄遣いに他ならないため断固反対です。
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