こんにちは、少額投資非課税制度(NISA)の投資対象となっている投資信託の2024年1月から11月までの購入額約26兆円のうち、同期間に半額超の金額となる13兆7,000億円が売却されていたと日経電子版が報じました。日経編集委員の田村正之氏が「NISA最大の敵は『売る誘惑』長期保有へ資産配分点検」と題したコラム記事で、投資助言会社イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明氏のコメントを引用する形で紹介しています。田村氏のコラムで小松原氏は「わずか1年弱で半分も売られては、長期で資産形成を支援する投信が生かされないことになり残念」と述べています。確かに人生の転機や突発的な理由で、何事にも代えがたいイベントかつまとまったお金が必要になった時に投資信託を売るのは、いかなる相場状況に関係なくその人にとって疑いようのない「最高の売り時」です。素晴らしい「ナイストレード」です。「稲妻が輝く瞬間を逃さない」とかいう以前の話で、売却に一切迷う必要がないと強く断言します。また、課税口座からNISA口座に移すために売却するのは個々人の状況によりますが、一定の合理性はあるかもしれません。しかし、相場環境の変化で怖くなったり、売買のタイミングを図ろうとしたり、翌年にNISA枠が復活したりするからといって、投資信託を売却してしまうことは複利効果で大きく得られる可能性のあったリターンを大きく削る結果につながりかねないと強く申し添えます。
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5%弱株式市場にいないだけで25倍→3.5倍に壊滅的激減
詳しい記事の内容は上の日経電子版のリンクからご覧ください(有料会員限定記事)。楽天証券に口座を開設し、取引アプリ「iSPEED」をダウンロードすれば「日経テレコン」からも一定期間読めます。田村氏のコラムによると、NISAで人気になっている時価総額加重平均型の全世界株価指数「MSCI ACWI」(配当込み、円ベース)は1987年末の算出開始から2024年11月末までに25倍になったといいます。ただし、この期間444カ月のうち上昇率が高かった上位20月(全体の5%弱)だけ投資を中断しただけで3.5倍に急減したと明かしています。急上昇は突然起き、いつ起きるか予想するのは予測困難だとしています。全くもって同意です。ちなみに、上昇率上位20月のうち7月はリーマン・ショック後に株価が底値圏だった4年間に発生していたと付け加えています。テレビやネット、新聞がリスク資産の恐怖、怖さを煽り、投資家の間でも投資への恐怖が広がっていた期間です。持ち続けた場合と途中で中断した場合のリターンの具体的な違いも紹介されています。30歳から世界株式投資信託に月5万円積み立て、年4%の利回りで運用すれば59歳末時点で累計投資額1,800万円に対し、資産は約3,440万円にまで増えると試算しています。しかし、15年後の44歳末で300万円売却して投資を中断してその後50歳から金額を増やして月10万円で積み立てを再開した場合は59歳末時点の投資元本は同じ1,800万円になるものの、運用資産は2,840万円と積み立てを継続していた場合に比べて約600万円少なくなるとしています。引き出した300万円を加えても約300万円少ない計算になるということだと述べています。中断で複利効果が鈍るのが要因と言い切っています。
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