こんにちは、「新NISAは円売り要因か」と題した記事が「AERA Money 2024年秋冬号」に掲載されました。国際通貨研究所の上席研究員や楽天経済研究所のチーフエコノミストといった複数の組織の専門家に取材し、実際の為替取引量を推計した結果、少額投資非課税制度(NISA)を通じて買われた外国株式の投資信託の金額は為替取引全体の0.1%未満に過ぎないと報じています。さらに言うと、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)はNISAで買われた外国株式投資信託のうち17%です。為替への影響度は一層、極めて小さいです。一時、日本を代表する経済専門紙が根拠もなく情緒的に「オルカンが円安要因」と言わんばかりの記事を掲載していましたが、専門家が分析した数字の上でも根拠がない「陰謀論」まがいの話であると退けられる結果の一つと言えると思います。なお、経済専門紙の中にも、良識コラムを精力的に書かれているあるベテラン記者は紙面上でオルカン円安論に強く異を唱えていたと申し添えておきます。
大きな影響考えにくい
詳しい記事の内容は該当の冊子の紙面をご覧ください。ウェブでも同様の記事を読めます。記事によると、専門家の分析を元にした推計で米ドル円のスポット取引は8か月間で約1京292兆円(1京円=1万兆円)とされています。一方、NISAで1月から8月まで8か月間の外国株式投資信託純流入合計は約9兆6,000万円です。これを計算すると0.093%です。専門家が指摘している通り、影響が全くないとは言わないものの、大きな影響を与えているとは到底考えられないです。はっきり言えば、ごくわずかに過ぎないです。ちなみに、政府が4カ月でドル売り円買い介入をした合計額は15兆3,233億円である点も付記しています。オルカンの8カ月の純資金流入は1兆7,190億円ですので、為替全体の0.016%です。いずれの点からもNISAで外国株式投資信託を買うことが、どうして大きな円売り要因になると考えられるのか、私には全く理解できません(笑)
コメント