こんにちは、でんです。個人投資家が証券会社の宣伝やうたい文句に惑わされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投票で選ぶ「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2021(FoY)」でランキング入りした投資信託や上場投資信託(ETF)を不定期連載で紹介しています。第7回目はセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾンバランス)です。決して低コスト投資信託ではないですが、ロボットアドバイザーバランス型投資信託(ロボアド)の維持手数料(信託報酬)の半分程度の安さはあります。
ロボアドよりは安いが…
セゾンバランスはバンガード社の複数のETFに投資することを通じ、株式と債券に50%ずつ投資をしています。株式と債券内の国別や銘柄別比率はおおむね時価総額通りとなっています。購入時手数料は無料で信託報酬は年0.57%程度です。中身がほぼ同じ投資信託で比較すると信託報酬年1%を優に超えるロボアドよりは安いですが、楽天・インデックス・バランス・ファンド(楽天バランス均等型)の信託報酬年0.222%の2倍以上かかります。ちなみに、楽天バランス均等型はさらにシンプルな形で投資をしています。セゾンバランスは売却時に信託財産留保額として0.1%かかります。信託財産留保額は投資家間の公平を図るため投資信託を解約する際に、投資家が解約代金から差し引いてファンドに留保される金額の割合です。信託財産留保額の有無はいいとも悪いとも言えない性質のものです。設定以来分配金を出していないため、配当課税を繰り延べる形で効率的な複利運用をしています。積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)指定アクティブファンドに組み入れられています。個人型確定拠出年金(iDeCo)でも扱っている証券会社があります。
コスト引き下げに極めて消極的
セゾンバランスがファンド内で投資しているバンガード社のETFの信託報酬平均は年0.09%程度です。投資家が支払う手数料のうち、バンガード社に支払ってる手数料はわずか15%です。残りの85%弱が運用会社のセゾン投信や販売会社、信託銀行に入っています。ちなみに、ロボアド運用会社は投資家から受け取った手数料のうち90数%を中抜きしています。サービスを提供して手数料を得るのは当然の権利ですが、セゾン投信は「大手運用会社と事業モデルの違いから手数料引き下げはできない。コストを超えた存在価値を見出してほしい」などとして手数料引き下げには極めて消極的な姿勢を取っています。はっきり申し上げると、投資信託にコストを超えた存在価値を見出すのは極めて困難です。さらに、中野晴啓会長はインターネット有料記事で「一部の極端に信託報酬の低い投信が選ばれる現状に問題提起をしたい」と信託報酬引き下げといった同業他社の企業努力に対し水を差すような発言をしています。余計なお世話としか言いようがありません。厳しい言い方をすれば、企業努力が足りずに高い商品しか作れない会社のトップが、同業他社の安い商品が売れるのを悔しがって根拠もなく「無理して安売りしているのに違いないから、経営が傾くに違いない」と言っているのに等しいです。正直「負け犬の遠吠え」にしか聞こえません(セゾン投信は十分な資金を集めている投資信託会社で決して負け犬ではないですが…)。また、「他社の皆様もコスト引き下げ競争で苦しいでしょう。ここは私にいい考えがあります。手数料は一律にして、お互い競争せず横一線にウインウインで儲けませんか」と談合を持ち掛けているようにも聞こえてなりません。ここまで厳しい意見を述べてきましたが、セゾン投信や中野会長は売り手の論理を押し付けるのではなく、長年投資家に寄り添い長期投資と国際分散投資を日本に根付かせてきた功績があります。さらに、投資家に真摯(しんし)に寄り添い続けてきました。そうした姿勢を筆者も高く評価しています。だからこそ、信託報酬引き下げにあまりにも消極的な姿勢や中野会長の「負け犬の遠吠え」や「談合持ち掛け」にしか聞こえない発言は極めて残念でなりません。
このブログに来ていただき、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。今回はセゾン投信や中野会長に身の程も知らずに厳しい意見を述べたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。しかし、昨今のセゾン投信のコストへの考え方や中野会長の発言はどうしても看過することができませんでした。
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