こんにちは。でんです。収益率を高めるには市場タイミングを的確につかんで売買することと言う人もいます。確かに1度の売買ならばうまくいくかもしれません。しかし、世界中の機関投資家を相手に個人投資家が何度も適切なタイミングで売買をすることはごく一部の天才を除いて困難でです。個人的には、はっきり言って無理だと思っています。なぜならばインデックス株価指数を上回る成績を目標とするアクティブファンドの10年運用の勝率が全世界株と米国株で1割、比較的インデックスに対して強いといわれる日本株のアクティブファンドでさえも4割です。プロでもこの勝率です。しかも、償還(運用終了)している投資信託(当然成績はインデックスファンドに劣ります)はデータに残らないので考慮されていません。日本株のアクティブファンドの勝率が高いのは、日本株のインデックス株価指数が世界的に見て長期的に弱い値動きをしているのも要因の一つといえるでしょう(近年、特に新型コロナショック以降は好調ですが)。
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ベストの期間を逃すと…
- 1980~2008年の場合
- 1928~2000年の場合
実は市場タイミングを計る売買は、さらに大きな困難が待ち構えています。米国の著名投資コンサルタントの1人であるチャールズ・エリス氏の名著「敗者のゲーム」をもとに見ていきましょう。1980年から2008年の間、最も上昇したベスト10日(期間全体の0.25%未満)を逃すだけで、リターン平均が年11.1%から8.6%と2割以上も下がります。ベスト30日(期間全体の0.5%)を逃すとリターン年5.5%に半減してしまいます。28年のうちの30日の上昇を逃すだけでです。いかにタイミング売買が難しいかを示していると思います。
1980年から2008年の間でベストの何日かを逃した場合のリターンへの影響 チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」より
過去75年間の長期分析の結果、株式リターンの大部分は、上昇率のベスト60カ月(5年間、全体のわずか7%)に達成されているといいます。110年間で上昇ベスト10日を逃すだけで、利益の3分の2を失うという試算もあります。例えば1928年にS&P500指数に1ドル投資した時の2000年の累積資産額は1万7000ドル弱です。しかし、1933年の上昇を逃すと1万1000ドルになります。1933年、1935年、1954年の上昇を逃すと4900ドルにまで下落します。
1928年に1ドルを投資した時の2000年末の累積資産額と特定の上げ相場を逃した場合の影響 チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」より
「敗者のゲーム」に出合い、長期投資の威力に驚き、市場でタイミングを取る困難さを痛感しました。もし知らずに株式の短期売買を繰り返していたらと思うと怖くなりました。最後にエリス氏の言葉で締めくくります。
長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、激しい下げ相場に遭遇してパニックに陥り、上記のような最大の上げ相場に参加する機会を自ら放棄してしまうことだ。この教訓は明らかである。投資家は「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならないということだ。相場のタイミングに賭ける投資は間違っており、決して考えてはいけない。
チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」より
このブログに来ていただき、最後まで読んでくださりありがとうございます。ともに航路を守り、株式投資を続けていければ幸いです。
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