日本のサラリーマンインデックス投資家の先駆者で、良質なインデックス投資の入門本や経済評論家・故山崎元氏との共著で良書を夜に送り出してきた投信ブロガー水瀬ケンイチ氏の新書「彼はそれを『賢者の投資術』と言った」(Gakkenn)が新発売となりました。私にも水瀬氏のご厚意で新書をご恵贈頂きました。早速、空き時間を見て読みました。多忙な中時間を作って読んだので、数日から一週間ぐらいかかるかなという読みでしたが、あまりの面白さ、興味深さにのめり込むように読んでしまい思わず一気に完読してしまいました。水瀬氏が投資知識ゼロから投資を始め、様々な試行錯誤を経てインデックス投資に出合って時間をかけて大きな資産を築き上げた歩みが記されています。25年間には様々な苦労やゾットするようなトラブル、奥様との馴れ初め、リーマン・ショック時後に取った行動、仕事上での苦労なども明かされており、その点からも「水瀬ファン」も楽しめる内容になっています。インデックス投資の先人の歩みを2,000円弱で「仮想体験」できる一冊です。ぜひ手に取って、多くの方に読んでいただきたいです。

投資と人生の五つの真理

水瀬氏の25年間の歩みはぜひ本でご覧ください。「賢者の投資術」にたどりつくまでの水瀬氏の道のりをたどれます。資産の推移が金額入りで公開されていますが、25年間方針を守って運用したことによる複利の力、破壊力を目にすることができます。一般には「お金持ち」といわれる水準にまで資産が到達しています。水瀬氏が25年間の経験から得た投資と人生の五つの真理を挙げています。五つの真理は①投資は資金に余裕がある人がやるものから必修科目へ②なぜ、ほったらかしでも株価が上がるのか③投資の目的を忘れない④手間をかけないことの価値⑤健康と人間関係を大切にするーです。どれも、うなずける話で、特に②、③、④、⑤は私もリスク資産と無リスク資産を運用していく上(当ブログの読者ならばご存知と思いますが、水瀬氏とほぼ同じ投資手法を採用しています)でとても大切にしています。②に関し水瀬氏は資本主義経済の拡大再生産の仕組みを根本的な理由としています。さらに、ファイナンス理論のリスクプレミアムの考え方は②を異なる視点から捉えたものと考えられると付言しています。私も同じ見解です。③に関し投資は手段にすぎず、目的ではないという考え方は心より賛同できます。少額投資非課税制度(NISA)で最速で生涯投資枠を埋めることに無理をしたり、自慢をしたりしている人は投資が目的化しているのではないかと個人的に危惧しています。さらに、「◯◯までに目標◯億円」なんてリスク資産を運用していく上で目標を立てたり、「あなたは月いくら積み立てていますか」なんてやたらと聞いてきて競争を煽ってきたりする人も見かけますが、目的化の最たるものと感じてなりません。投資は人生の選択肢を広げ、不安がより少なく楽しく生きていくための手段に過ぎないと忘れずにいきたいです。④は忙しい時や体調不良時に価値を痛感しています。⑤は持病や健康不安を抱える身として、一日でも長く家族や友人と楽しく過ごせるよう気を配っていきたいです。人間ドックや脳検診、歯科検診・クリーニングは毎年欠かさず実践しています。
コメント