公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年10~12月期の運用収益(速報値)が10兆3528億円、収益率は6.29%と3四半期連続の黒字でした。しかし、四半期の成績よりも大切なのは長期の成績です。市場運用開始以降の2001年度以来の累積運用収益は85兆3011億円で、収益率は年3.37%でした。GPIFは長期的に見れば極めて適切に年金積立金を運用しています。
GPIFの資産配分
GPIFは国内債券、外国債券、国内株式、外国株式をそれぞれ25%ずつの配分を掲げています。インデックスファンドを中心に投資し、長期的に年金積立金の実質的な収益率1.7%を最低限のリスクで確保することを目標としています。実質的な収益率を「名目収益率-名目賃金上昇率」と定義しています。2001年度から2019年度までの実質収益率は年2.39%と、GPIFの目標を上回る成績となっています。
テレビ局や特定野党の姿勢に疑問
- テレビ局はスルー
- 暴落時に投げ売りを求めた特定野党
日本のインデックス投資のパイオニア水瀬ケンイチ氏の調査によると、新型コロナショックでGPIFの四半期成績が落ち込んだ時に大騒ぎしてセンセーショナルに報じたテレビ局はNHKを除き、今回の運用成績を一切報じていません。新聞社も会社によっては収益率や累計実績が抜け落ちていたり、不十分だったりしていました。運用成績は収益額だけでなく、収益率も欠かせない情報です。長期投資の視点からは累計実績が一番重要だともいえます。多くのニュースがあって枠や紙面が限られているのかもしれませんが、年金は国民生活に大きく関わります。多くの人が関心を持っています。筆者も水瀬氏と同じく、収益率や累計実績もしっかり報じるべきと考えています。
水瀬氏のブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」
株式市場の暴落時に、GPIFに株式の投資配分を下げるよう申し入れた特定野党の見識も疑います。長期投資では市場が下がっている時も、上がっている時も配分を守り続けることが重要です。株式の時価総額が相対的に下がっている時は株式を買い増し、逆に相対的に上がっている時は株式を売却するなどしてリバランスが必要です。特定野党の申し入れは言い換えると「暴落時に株式を投げ売りすべき」と言っていることに等しいです。長期投資の原理原則を分かっていないと言わざるを得ません。(特定野党の中には資本主義を否定し、特定イデオロギーと無神論を信仰している勢力もいます。彼らの教義からは株式投資は邪悪なものなのかもしれませんが)
このブログに来ていただき、最後まで読んで下さってありがとうございました。公的年金制度自体に問題があるのは事実ですが、GPIFの年金積立金は極めて適切に運用されています。一つ付け加えると、GPIFの投資手法は個人投資家にとってもいい教材の一つです。
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