最近は不安定な局面もあるものの、世界の株式市場は総じて高値圏にあります。「株式一本でいい」「もっとリスクを取ればさらに増える」といった空気も感じられます。しかし、こうした浮足立つムードこそ警戒すべきです。2025年11月15日付日経朝刊28面で、日経編集委員の田村正之氏は、投資家が受け入れられるリスク(リスク許容度)を超えて株式に偏重する危険性を丁寧に指摘し、国債やREIT、金など他の資産への分散の重要性を論じています。まさに「日経の良心」。非常に示唆に富む内容で、多くの人に触れてほしい記事だと感じます。
長期なら株式が合理的

該当記事は日経朝刊および電子版(有料会員限定記事)でご覧ください。紙面に掲載された田村氏の記事のポイントを引用します。
「資産の最大損失額の事前認識が重要」
「リスク許容度を考え、株式売却も選択肢」
「長期投資なら株式比率が高くても『動かず』」
いずれも極めて本質的な指摘です。記事では、米S&P500の予想PERとその後の年平均騰落率の関係を示し、
・10年投資ではPERが高いほど将来リターンは下がり、時にマイナスにもなり得る
・20年以上の長期ではPERが高くても5〜10%程度と安定して高いリターンが期待できる
と説明しています。また、全世界株式指数が高値を付けた後の過去の下落率や、長期で見た株式の強さ(他資産クラスに比べて圧倒的な上昇率)も紹介されており、「長期なら株式が合理的」という歴史的データが示されています。
淡々と、そして地に足をつけて投資する

田村氏の記事は、株高ムードに引きずられた過度な強気姿勢を戒めつつ、長期投資家が取るべき姿勢をまっすぐに示した記事だと感じます。私自身、リスク許容度の範囲内で運用することが最も重要と考えています。その上で、
・リスク資産:全世界株式インデックスファンド
・無リスク資産:個人向け国債変動10年(または普通預貯金/MRF)
という組み合わせが、もっとも分かりやすく、実務的だと思っています。全世界株式は市場全体の成長を取り込みやすく、個人向け国債は金利上昇局面でも防御力を発揮するため、長期投資の土台として非常に相性が良いと考えています。
分散し配分を守る

市況が良い時ほど「もっと株を増やしたい」と考えがちです。しかし、
株高に浮かれず、淡々と分散し、自身のリスク許容度に沿った資産配分を維持する。
これこそが長期投資の王道です。田村正之氏の記事は、その大切さを改めて確認させてくれる内容でした。

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