こんにちは、私は従業員が勤務先の株式や債券に投資をするのは基本的に避けるべきと考えています。たとえ、従業員持株会の奨励金が拠出金の10%を超えるような「高利回り」だとしても、勤務先が世界的特許を持つ超成長企業だとしても、アップルやマイクロソフト、コカ・コーラ、トヨタのような世界的大企業だとしても、意見は全く変わりません。奨励金に飛びついて従業員持株会を通じて勤務先に投資してしまったら、給料からリスク資産の運用先まで勤務先に強烈に依存してしまいます。つまり、勤務先への不健全なレベルに偏った集中投資です。確かにハイリターンとなる可能性は決して否定できませんが、自分の資産の生殺与奪を事実上勤務先に握られてしまう極めてハイリスクな行動です。
※あくまで一般従業員の場合の話です。上場企業の取締役ら経営陣は自社の経営にしっかりと責任を持つと株主に示す観点から、自社の株式を絶対に保有すべきと考えています。高額の報酬をもらえる上場企業の経営陣の事実上の義務だとさえ思います。社長ら経営陣が自社の株式を保有していない上場企業は正直言って嫌です。株主をバカにしているとしか思えません。
※文中の「高利回り」は拠出金に対する奨励金の割合を指します。通常の預貯金の利子・利息等の利回りと異なり、奨励金をもらえるのは通常、拠出金を出した1回限りです。従業員持株会で運用期間が長期になればなるほど利回りは低下していく性質があります。
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東証の調査によると、2019年時点で従業員持株会加入者に支給される奨励金は96.8%の企業で導入されています。奨励金導入企業の92%は拠出金に対して4%以上の奨励金を出しています。45.8%の企業の奨励金率は10%を超える「高利回り」です。飛びつきたくなる気持ちも分からなくはないです。しかし、冷静になって深呼吸してください。従業員持株会で投資する先の銘柄は、まごうことなき勤務先の株式です。たとえ、いくら「高利回り」の奨励金がもらえるからといって、従業員持株会に入り勤務先の株式を買うのは日々の収入の面でも、金融資産の面でも勤務先にべったりと依存することを受け入れる誓約書にサインしてしまうのと一緒です。勤務先の経営が悪化し、上場廃止になればこつこつ蓄えてきた勤務先の株式が無価値になってしまいます。事実、過去には日本航空(日航)、長銀など有名大企業でも経営破綻しています。従業員持株会には近づかない、関わらないのが最善だと思います。どうしても、勤務先と運命共同体になっても一切構わないぐらい愛社精神が強すぎる、あるいは上司や会社からの持株会への加入圧力が半端ないといったの理由で勤務先の株式に投資する場合はごく少額にとどめ、たとえ勤務先の株式が無価値になっても一切困らない金額に留めるべです。なお、私は仮に日経新聞や日経の関連会社の企業に勤務していたら、日経平均に連動する投資信託は絶対に買いたくない気持ちは一層強かったと思います。読売新聞や読売の関連会社に勤めていたら読売333連動投資信託に投資したくない気持ちはもっと強烈に感じていたと予想します。
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