こんにちは、非課税期間無期限の少額投資非課税制度(NISA)導入直前の2023年末、「新NISA、投資初心者でもわかる投資信託選びのポイント」と題した記事が日経電子版に掲載されました。初心者を念頭に「最初は幅広い銘柄に分散投資できるインデックス投信を、長期で積み立てる」と主張し、代表的な例として全世界株式型を紹介しています。ここまでは大筋ではいいのですが、「全世界株式型をベースに自分なりに味付け」と称し、世界の時価総額に占める割合が小さい特定の新興国の株式や日本株式、高配当株式型、アクティブ型を紹介しています。この点には強く異を唱えます。時価総額加重平均型の全世界株式に新興国株式や日本株式はおおむね適切な配分で含まれています。さらに言えば、日経電子版の該当記事にも書いてありますが、高配当株式型やアクティブ型は通常のインデックス型よりも運用管理費(信託報酬)が基本的に高く、大半がインデックス型に負けています。たとえ同水準の低コストだとしても、成績がインデックス型を上回るかどうかは分かりません。初心者でなくても、余計な「味付け」は不要だと考えます。「長期」「分散」「低コスト」を基本に、時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンド1本に投資すれば事足りると思います。
低コスト複数回数分配型に要警戒
NISAの成長投資枠対象投資信託に、低コスト高配当株式や連続増配株式などの投資信託が新設されています。米国株式や先進国株式など世界の時価総額を一定程度以上カバーしている市場を対象に投資をし、かつ年1回決算型で配当金や分配金をファンド内で再投資するタイプならば、正直そこまで問題はないと判断しています。一方、年2回や年4回(四半期)、年6回(隔月)分配型は大いに問題があります。分配金を出すことを前提としており、運用成績次第では元本を取り崩すだけで何の意味もない特別分配金(タコ足分配、タコ足配当)が平気でなされます。インデックス上場投資信託(ETF)と異なり、非上場投資信託はETFで制度上禁じられている値上がり益や繰越分配対象額、元本を原資とした取り崩しを認めています。非上場投資信託の分配金は百害あって一利なしです。低コストで分配金を出す非上場投資信託はコスト面以外のメリットは皆無で、「余計なおせっかい」かつ「迷惑極まりない」商品設計です。特にNISAとの相性は最悪の極みです。分配金を受け取れば投資信託の運用効率は著しく落ち、分配金を再投資すれば再投資した金額分だけNISAの投資枠を消費してしまいます。これに対し、分配金を出さずにファンド内で配当金や分配金、利子を再投資している非上場投資信託は再投資によるNISAの投資枠消費が一切されることなく効率的な複利運用を実現しています。
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