こんにちは、経済評論家で元楽天証券経済研究所の山崎元(やまざき・はじめ)氏が1日午前11時44分、食道癌(がん)のため東京都内の自宅で死去しました。65歳でした。楽天証券が5日夕発表し、日経電子版が報じました。通夜・葬儀は行わず、近親者のみにて見送ったそうです。日本の投資環境を心から憂い、業界に忖度せずに一貫して個人投資家に寄り添った「極めてシンプルかつ合理的」な発信を新聞やネット、テレビ、動画サイト、交流サイト(SNS)で長年続けてきました。楽天証券コラムサイト「トウシル」には15年間で約500本の記事を執筆したといいます。2023年1月に食道癌を公表し、病気の経過や治療を通じて感じ、考えたことを記事にしていました。闘病生活を送りながら、多くの人が正しい金融知識を得られるように筆を執り、声を発し続けました。山崎氏の写真や動画の様子、病状などから覚悟はしていましたが、それでも早すぎます。残された奥さまやご子息、ご家族、ご友人の心情を察するに余りあります。私自身も気持ちの整理がつきません。山崎氏のような専門的な知識は持ち合わせていませんが、山崎氏が人生を賭けて発信し続けてきた思いや魂を胸に刻み、微力ながら自らの良心に基づいて発信を続けていきたいと思います。
個人投資家に寄り添い正しいお金の情報を発信
(楽天証券の該当リンク)
(日経電子版の該当記事)
山崎氏は1981年に東大学経済学部を卒業。三菱商事や住友信託銀行(現三井住友信託銀行)、メリルリンチ証券(現BofA証券)など12回の転職を経て、2005年に楽天証券経済研究所客員研究員。2023年3月に退職し、経済評論家として活動。北海道出身。長年、一貫して個人投資家に寄り添い、正しいお金の情報を発信し続けました。自らの機関投資家としての長年の経験や個人投資家の運用規模を考慮した上でのリスク許容度に応じたリスク資産、無リスク資産への投資の考え方を示しました。NISAはつみたて枠、成長投資枠ともに「長期、分散、低コスト」の条件を満たし、最もコストが安くて純資産総額が大きい時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンド1本でいいという意見は「山元節」これに極まれりと大きな話題となりました。重い病状にも関わらず、トウシルで頻繁に新しい記事を寄稿したり、以前の記事を再掲したり、はたまた他の雑誌の長時間インタビューに応じたり、動画サイトに出演したりしていたのは、後世に自分の考えを伝えたい、残したいと強く思っていたからではないかと推測しています。ありがたく、頭が下がるのとともに、一方で「どうか無理をしないで」と思っていました。本当に私にとって、時価総額加重平均型の全世界株式インデックスファンドと個人向け国債変動10年(変動10)にリスク許容度に応じて分散投資するといったシンプルかつ合理的な投資手法に導いてくださった大恩人です。機会があれば一度、直接お会いして感謝の気持ちを伝えたかったと思っていました。将棋や競馬、(基本私は下戸ですが)ウイスキーの話も、ユーモアかつウイットに富んだ文章や語り口も好きでした。恐らく私のブログで一番多く紹介、引用したのが山崎氏の記事だったと思います。心よりお悔やみ申し上げます。どうか安らかにお眠りください。おそらく、あちらの世界でもウイスキーを片手に競馬や将棋を思う存分楽しんでいるような気がしてなりません。
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