こんにちは、三菱UFJ国際投信(三菱AM)が9月8日からeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)の運用管理費(信託報酬)を現行の年0.1133%以内から半値程度に引き下げると日経電子版が17日夜、報じました。日経電子版によると、野村アセットマネジメント(野村AM)が運用し、信託報酬年0.05775%と国内投資信託最低水準のコストとなっている、はじめてのNISA・全世界株式インデックス(はじカン)に対抗とした大幅引き下げで、はじカンと同水準にまで引き下げるといいます。18日未明現在、三菱AMの公式発表やEDINETへの届け出はありません。日経電子版の報道が事実ならば、来年1月から始まる新少額投資非課税制度(新NISA)を前に「業界最低水準の運用コストを将来にわたり目指し続ける」と掲げ続けているeMAXIS Slimのブランドイメージを優先したとみます。オルカンから得られる三菱AMの収益が半減してでも、日本の低コストインデックファンドの圧倒的シェアを取り続ける覚悟がうかがえます。
最安コストへの強烈な決意
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eMAXIS Slim シリーズはコストの安い対抗投資信託が出ると、すぐさま対抗して信託報酬を下げ続けてきました。また、三菱AMの役員は投信ブロガーとのミーティングで純資産総額規模の小さい他社の商品がコストを引き下げられて、純資産総額が多いeMAXIS Slimの商品がコスト引き下げをできない理由がないと強い決意を示してきました。ただ、指数使用料などを含めて信託報酬年0.05775%のはじカンや、指数使用料などは含めないものの(ただしこの手のその他手数料は年0.03%以内とする)日興アセットマネジメント(日興AM)が運用する信託報酬年0.05775%のTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(トレカン)への対抗引き下げは即断できず、簡単には結論が出せないとする報道も出ていました。そんな中、オルカンの信託報酬を従来の半分にし、はじカンなどに対抗するという報道が今回飛び出しました。オルカンをはじめとするeMAXIS Slimシリーズは最安コストであり続けると強烈な決意を示したと感じてなりません。17日現在のオルカンの純資産総額は1兆3,729億円であるのに対し、はじカン3億円、トレカン14億円です。圧倒的な純資産総額の規模差があります。オルカン程度の規模があればファンド単体で十分に黒字は見込めるでしょうが、トレカンやはじカンは現状の純資産総額規模では、ほぼ100%赤字になるのは想像に難くありません。一般に純資産総額が大きければ大きいほど低コストでもファンド単体で黒字運営が可能なのに加え、指数への連動度合いや安定した運用をする上で圧倒的に有利です。なお、今回のオルカンの信託報酬引き下げは三菱AMの英断であるとともに、オルカンに勇気を持ってコスト勝負を挑んだ野村AMや日興AMの功績でもあります。感謝しかありません。
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