こんにちは、資産運用は不確実性(運)の要素が少なくないとされています。自分のリスク許容度を見極めて資産配分を決めて実行した際におおむね正しい投資行動を取っていても、市場の状況が悪くて結果が悪いことも十分にあり、その反対も十分に起こりえます。運が悪かった例を挙げれば、2007年に投資を始めた場合には低コストかつ時価総額加重平均型の全世界株インデックスファンドに投資をしたとしても、数十%の暴落に見舞われました。2022年の債券は日本を除く主要先進国の中央銀行が急激な利上げに踏み切り、債券市場は数十年に1度の「債券暴落」となりました。経済評論家の山崎元氏は投資や資産運用の世界で、正しい認識を妨げる考え方を「『結果』に対して過剰な思い入れを持つ『悪しき結果主義』」と呼んでいます。記事が楽天証券コラムサイト「トウシル」に掲載されました。山崎氏の記事は多くの人にとって長期間運用していく上で避けることのできない不運(暴落)への処方箋の一つになると思います。加えて、投資詐欺や交流サイト(SNS)で見かける悪徳情報商材屋から身を守る力になるとも感じています。
「経験」の過大評価
詳しい記事の内容は上のリンクをご覧ください。山崎氏は悪しき結果主義者たちのパターンを①優劣は運用で勝負して決める②私は実際に儲けた人の言うことしか信じない③データを見て考えよう④「私はこうしてうまくいった」ーと挙げています。条件やリスクの大きさの違うファンドを比べ優劣を決めるのは正確にできない上に、1年程度の結果で結論を出すのは不適切だとしています。実際に儲けた人の話しか聞かない考え方は金融詐欺に騙されやすいと注意しています。当ブログが補足すると、都合のいい期間を切り取って特定の金融商品を勧める金融機関の営業や悪徳金融情報商材系インフルエンサーに付け込まれやすい考え方です。データはいくらでも都合のよい期間を切り取れます。山崎氏はリーマン・ショックを含む期間のデータを示すことで、ドルコスト平均法を「有利」と言い張る専門家がいるとしてきします。ちまたで見かける10年、20年、30年といった期間のデータは運用の検証として不十分であると指摘しています。なお、機会費用や埋没費用に気づけばドルコスト平均法は有利と言えるものでないと気づけるといいます。「私はこうしてうまくいった」と自分の経験は統計のサンプルで言えば「単なるN=1」に断じます。そして、自分の経験を「単なるN=1」に過ぎないと客観視できる人は少なくないと述べています。
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