こんにちは、6日から31日まで募集される2023年8月15日発行の個人向け国債変動10年(変動10)の金利が年0.28%(税引後年0.2231180%)と設定され、前回発行から0.01%下落しました。算定基準となる10年国債の金利が年0.43%となったからです。2カ月ぶりに反落したものの、日銀が毎営業日実施する10年国債を無制限に買い入れる「指値オペ」の金利年0.50%が依然として視野に入り続けています。変動10の金利はメガバンクの普通預金の300倍弱です。定期預金と比較しても百数十倍です。楽天証券と連携(マネーブリッジ)させた際の楽天銀行のプレミアム金利年0.1%(預金額300万円以下まで)の3倍弱です。為替リスクがリターンに占める割合が極めて大きいかつ決定的な影響を与える外国債券と違い、個人向け国債は為替リスクがありません。全世界株インデックスファンドの分散投資先や安全(ほぼ無リスク、超低リスク)資産の運用先として、最有力な候補と考えられます。
原則元本割れなし
個人向け国債の満期は10年(あるいは5年、3年)ですが、発行後1年を経過すればいつでも中途換金ができます。中途換金時に直近2回分の各利子相当額×0.79685が差し引かれます。通常の債券と異なり、たとえ中途換金をしたとしても財務省(日本政府)が債務不履行(デフォルト)や破綻しない限り元本割れはしません。地銀はもちろん、メガバンクやゆうちょ銀行、インターネット銀行、信用金庫、農林中央金庫などあらゆる金融機関の預貯金よりも相対的に極めて安全といえます。日本政府がデフォルトする確率は極めて低いです。あらゆる金融機関よりも一般にデフォルトする可能性は低いとされています。ただし、個人向け国債の弱点もあります。金利下落時に通常の債券で得られる値上がり益は、個人向け国債では価格が固定されているため起きません。さらに、預貯金のように常に引き出せるわけではなく、購入後1年は中途換金ができません。
金利上昇しても価格下落なし
個人向け国債は財務省が毎月発行しています。通常の債券と金利は、逆相関の関係(反対の方向に動く関係)です。金利が上昇すれば債券価格が下落し、金利が下落すれば債券価格が上昇します。それに対し、個人向け国債は金利が上昇しても価格下落が起きません。金利上昇や下落に関わらず、債券価格が固定されているからです。しかも、たとえ金利が下落してマイナス金利になったとしても、最低金利年0.05%が保証されています。特に変動10ならば債券価格が固定されたまま新発債どころか既発債の金利までが半年に一度、追随して上昇します。2022年12月に実質的な利上げがされたものの、日銀の金融緩和継続で依然として最低水準の金利が続いており、金利の下落余地はほぼありません。確かに日銀が10年国債を年0.50%で無制限に購入している限りは変動10の金利は年0.33%が当面の上限です。しかし、日銀が金融緩和をやめたり、やめないにしても10年債を買い入れる金利水準を引き上げたりすれば、個人向け国債の金利が極めて高い確率で上がります。
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