こんにちは、2024年から始まる新少額投資非課税制度(新NISA)の成長投資枠の投資信託を巡り、運用業界と金融庁の間で不協和音が生じているという報道が23日付日経電子版にありました。日経電子版の報道によると、為替変動リスクを抑えるなどのヘッジ目的以外で金融派生商品(デリバティブ)取引を組み入れいる投資信託を新NISAの投資対象から除外するとする規定に対し、一部の運用会社が「基準が厳しすぎる」と猛反発していたといいます。金融庁がヘッジ目的以外のデリバティブ取引をしている投資信託を除外するのは至極まっとうかつ当然の措置です。デリバティブ取引を駆使した投資信託は手数料稼ぎが目的と疑わざるを得ないものばかりで、ほとんどが長期の資産形成に全く適していません。どの運用会社かは知りませんが、この期に及んで見苦しい「駄々っ子」としか思えません。
成長投資枠へのねじ込みを許すな
日経電子版の該当記事です。有料会員限定記事ですが、楽天証券に口座を開設し、取引アプリ「iSPEED」をダウンロードすれば、「日経テレコン」無料で読むことができます。
詳しい記事の内容は【上】のリンクまたは楽天証券の取引アプリ内にある「日経テレコン」を参照ください。デリバティブ取引を駆使した投資信託の代表格がレバレッジ(ブル)型、インバース(ベア)型です。ブル型の代表格がレバレッジNASDAQ100(レバナス)です。諸経費を控除した配当金や分配金、利子、利息だけでなく、値上がり益や元本までを無理やり「合法な形で」分配しようとしている毎月分配型投資信託もデリバティブ取引を悪用しています。いずれも、新NISAの投資対象から名指しで除外されています。高利回りの分配金を演出するために、オプション取引を使って無駄なコストをかけ結果として一定以上の値上がり益を放棄しているタイプさえもあります。他には目論見書を読んでも仕組みの極めて分かりにくい通貨選択型などの高手数料投資信託などもあります。いずれにしても長期の資産形成には不適切な商品で、新NISAの投資対象から外されるのは全くもって当然の判断です。日経電子版によると、デリバティブ投資信託除外に反発している運用会社は「デリバティブの使用は一概には投機的ではない」と反論しています。確かに外国債券投資信託などで見られる為替ヘッジは投機的な理由ではないです。しかし、そもそも金融庁はヘッジ目的に限ったデリバティブ取引の組み入れは新NISAの投資対象銘柄除外の要件とはしていません。なお、最終的にはデリバティブ利用をヘッジ目的に限定する旨を約款に記載すれば成長投資枠の条件を満たすとなったそうです。日経電子版の記事で指摘されている通り、デリバティブ規制ギリギリの「グレー」商品が新NISAの投資対象にねじ込まれる懸念はぬぐえません。約款に反してデリバティブ取引をヘッジ目的以外に使っていることが判明したら、金融庁は行政罰を辞さないとしています。ぜひ、金融庁は毅然とした態度で、ヘッジ目的外のデリバティブ取引を駆使した投資信託を除外し、違反金融機関には厳格な処罰を求めたいと思います。
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