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日本株ETF、8割公的マネー?

株式投資の心構え
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 こんにちは、でんです。2021年1月26日付朝日新聞朝刊で、上場投資信託(ETF)市場の約8割は公的マネーが占めるようになったと報道されました。日本銀行(日銀)がETFを買い始めてから10年になります。報道では日銀の買い入れルールは特定の運用会社を潤し、市場にゆがみを生んでいる面があると指摘しています。※朝日新聞の報道にあるETF市場は東証のETF市場とみられます。東証株価指数(TOPIX)や日経平均のみを指しているのか、東証全体を指しているのかは明記されていません。今回の当ブログの記事はTOPIXや日経平均に連動する東証ETFの大半を日銀が保有しているという点に重点を置いて書きます。

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日銀のETF購入

資産配分

 日銀のETF購入は2010年に始まりました。株式市場の安定を図るため、株価が急落した際に一定のルールに基づいて購入されます。対象株価指数はTOPIX連動型を最も多く買い入れており、日経平均連動型を含めたETFが大半を占めます。年間買い入れ上限は12兆円です。朝日新聞の報道によると、日銀が保有するETFの時価総額は2020年12月末現在で推計約47兆円です。中央銀行がETFを買って株式市場にお金を投入する政策は世界でも異例とされています。

メリット・デメリット

 朝日新聞の報道で、メリットとして①株価急落時に下支えできる②投資家が株を買う際の不安が減る③株価が上がれば消費意欲も高まるーを挙げています。デメリットとして①株価が実態とかけ離れバブルを生む危険がある②購入したETFを売る際には株価下落の圧力になる③株主として責任があいまいになる恐れがあるーを指摘してます。

日銀ETF山崎氏指摘
日銀のETF買い入れに対する問題点を指摘した山崎元氏のツイート

 経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏は自身のTwitterで日銀のETF買い入れの問題点を多数指摘していました。非常に端的で分かりやすいので紹介します。山崎氏にこの場を借りて御礼を申し上げます。

日銀補助金という名の手数料

  • 推計信託報酬が相場より高い
  • 特定の運用会社に偏る

 朝日新聞の報道によると、日銀はETF購入に伴い資産運用会社などに支払った信託報酬は10年間で計約2000億円となっています。2020年1年間で約500億円を占めています。2020年末現在の日銀が保有するETFの時価総額は推計約47兆円です。朝日新聞の報道を元に、信託報酬を時価総額で割って算出された経費率は0.425%でした(推計)。TOPIX連動型ETFの信託報酬の相場は年0.1%前後なので、推計された数値は高いと言わざるを得ません。(近年はETFの信託報酬が下がっているため、今後は下がると思います。ちなみに、日銀が負担する信託報酬は非公表です)。日銀はETFの中でも時価総額の大きい商品を買い続けてきました。信託報酬の高いものが多かったため、高コストのものを多数持っているとされています。朝日新聞は手数料の引き下げ競争を妨げる大きな要因になっていると指摘しています。朝日新聞の報道で、ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏は「日銀は信託報酬の高いETFの購入が目立ち、市場の競争をゆがめている。政策運営のコストを抑えるためにも日銀は安い信託報酬のETFへの乗り換えなどを検討すべき」と述べています。

 日銀は、ETFの運用残高の大きさに比例して各ETFを購入しています。日銀が最も多く買い入れているTOPIX連動のETFは市場全体で2020年末現在、約30兆円超です。9割が野村アセットマネジメント(AM)、大和AM、日興AMの3社のETFで占められます。朝日新聞の報道によると、それらの購入分の9割前後は日銀です。運用会社幹部は「(引用者注:日銀によって)特定のETFだけが購入され続け、他社が(朝日新聞注:信託報酬などの)費用を下げる努力をしても無意味になった。日銀が競争をゆがめた」と批判しています。

日本株インデックスの問題

  • 日本株に配分を割き過ぎない
  • 全世界株か米国株のインデックスファンドで問題なし

 筆者は日銀のETF買い入れは日本の金融市場の安定と株価上昇に一定の効果はあったと考えます。しかし、日本の株価と実体経済とがかけ離れたたり、日銀が買い入れたETFの出口(どう売却するか)戦略が困難になったりしている要因にもなっていると感じます。加えて株主としての責任があいまいとなり、議決権の空洞化も無視できない問題です。日本円で給料をもらい、日本円で年金をもらうために資産の通貨分散を図る以外に、TOPIXや日経平均といった日本株式のインデックス投資に消極的になっている理由の一つでもあります(日本株のアクティブファンドを勧めるという意味ではありません)。eMAXIS Slim 全世界株式(Slimオールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)を通じて日本株を持てば十分と考えます。

FOY2020.1~5
Fund of the Year(1位)から5位まで。1位は2年連続でSlimオールカントリーが輝いた
FOY2020.6~10
6位から10位
FOY.11~20
11位から20位

 コアとなる部分の投資は先進国株80%以上(米国株60%以上)、新興国株20%以内、日本株10%以内(日本株+新興国株は計20%以内)を勧めます。全世界株か米国株(S&P500、全米株価指数)の指数連動型のインデックスファンドを買えばシンプルに投資できます。投資信託で言えば、信託報酬や純資産総額からSlimオールカントリーや楽天VT、eMAXIS Slim 全世界株式(Slim除く日本)、eMAXIS Slim 米国株式(SlimS&P500)、楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)、SBI・バンガード・S&P500(SBIVOO)のどれかを持てば十分です。もちろん、米国株の比率を上げる目的で組み合わせてもOKです。

 このブログに来て頂き、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。米国株や全世界株のインデックス投資を続け、市場に残り続けたいです。日本株への配分を割き過ぎないように注意した方がいいと考えます。

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