こんにちは、低コストでS&P500指数と金に投資ができるレバレッジバランス型投資信託が8月31日に誕生しました。日興アセットマネジメント(AM)のTracers S&P500ゴールドプラス(日興レバ米国バランス)です。株式と金が基本的に相関関係が低い点に着目したレバレッジバランス型投資信託で、運営管理費(信託報酬)も年0.1991%とレバレッジ型では極めて安いです。今までのレバレッジ型投資信託と違いコンセプトは面白いとは思いますが、リスクが高い金にレバレッジをかけているため相応にリスクは高いと想像がつきます。
面白い
日興レバ米国バランスは現物を中心に一部先物を組み合わせたS&P500指数に100%、金先物に100%投資をし、ファンド全体では純資産総額の2倍相当の投資をします。一般に相関係数が低く、有事で株式が下落した際に金は上昇するケースが多いので組み合わせとして面白いと思います。株式が現物中心なのもいいと思います。購入時手数料は無料で、信託財産留保額はかかりません。信託報酬は年0.1991%とレバレッジ型とは思えない水準の安さです。レバレッジNASDAQ100(レバナス)など信託報酬が高く、ただでさえ偏ったハイリスク資産にレバレッジをかけた投資信託は正直相手にする気が起きませんでしたが、日興レバ米国バランスは思わず交付目論見書を見ました。
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NISAで購入厳禁
筆者は日興レバ米国バランスを今までのレバレッジ型投資信託と違い、面白いと思っています。ただ、少額投資非課税制度(NISA)で購入するのは厳禁です。金融庁が2024年から導入を目指している拡充NISAで、ヘッジ目的以外で金融派生商品(デリバティブ)取引をしている投資信託は対象除外になる方向です。仮に拡充NISAが実現せず、従来通りの新一般NISA、つみたてNISAの選択制度になったとしても投資対象から除外される方針なのは変わりません。日興レバ米国もデリバティブ取引の一つの株式先物、金先物取引を組み入れており、ほぼ100%ヘッジ目的とはみなされないでしょう。つまり、極めて高い確率でNISAの投資対象から除外されます。
金融庁のNISA拡充案を扱った当ブログの記事はこちらをご覧ください。
理解してから
日興レバ米国は相関係数が低いとされる株式と金に投資をしているとはいえ、レバレッジ型投資信託いは何ら変わりません。基準価額が上下を繰り返す状況が続けば、逓減効果により通常の投資信託よりも大きく下落する可能性が高まります。加えて、投資内容を理解するにはデリバティブ取引の知識が必須です。最低でも証券外務員一種で問われるレベルの知識がないと投資してはいけない商品と思います。いくら低コストでコンセプトが面白くても、安易に飛びついていい類の投資信託ではありません。
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