こんにちは、でんです。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度の業況概要書(運用状況)が公開されました。おおむね資産構成割合目標通りに運用し、複合ベンチマークに沿った成績となっています。2001年度以降の市場運用開始以降、リスクを抑えながらも年平均3.61%のリターンを出しています。収益額は95兆3,363億円となっています。極めて適切で良好な運用をしています。
長期投資で勉強になる
GPIFの運用への考え方は長期投資のお手本となり、個人投資家にとっても多くの学びを得られます。国民の巨額の年金積立金を運用するため、大きなリスクを取れません。よって株式と債券の比率を50%ずつを目安としています。株式、債券ともに国内が50%、国外が50%となるのを目標としています。投資の基本である国際分散投資とともに、日本経済を支える役割をうまく両立していると感じます。市場運用以来、リーマンショックや東日本大震災、新型コロナショックなどの暴落、調整局面はありましたが、しっかりと方針を守って運用してきたと思います。インデックス投資を中心としているため、管理運用委託手数料も0.04%と極めて低コストで運用しています。さらに、長期になればインカムゲイン(配当金や分配金)の果たす役割が大きくなることも分かります。2020年度の収益額におけるインカムゲインの割合は0.82%にすぎません。一方で2001年の累積収益額に占めるインカムゲインの割合は42%にもなります。ちなみに、積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)対象のインデックス型投資信託の多くは配当課税を繰り延べる形で分配金をファンド内で自動再投資しているため、効率的な複利運用ができます。
株式の投資割合まで真似するのは疑問
GPIFの長期投資の考え方は非常に参考になり、多くの学びを得られると申し上げました。だからと言って日本に住み、日本円で生活し、日本円で年金をもらう個人投資家が株式の投資割合まで真似をするのは考え物です。GPIFは日本株を買い入れ、日本経済を支える役割も担っています。国際分散投資と両立するため株式における日本株の比率を50%とするのは当然だと思います。仮にGPIFが世界の時価総額通りの配分に変更してしまったら、日本株や国内債券に甚大な影響を与えかねません。一方、日本の個人投資家までがGPIFの配分通りに投資してしまったら、個人の投資資産とGPIFの運用資産の成績が極めて似通ってしまいます。株式の暴落、調整局面でクッションの役割に期待する債券はともかく、個人投資家は全世界株や米国株を時価総額通りに投資するのがいいと考えます。※債券は外国債券に対する為替リスクの高さや株価の下落局面で円高になりやすい特性などから、国内債券インデックス(低金利下の代替投資先として個人向け国債変動10、インターネット預金)が有効と考えます。
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GPIFの運用方針
GPIFは長期投資を基本に、銘柄や資産構成、国際分散を心掛けています。運用方針(一部)を画像で示します。
このブログに来ていただき、最後まで読んで下さり、ありがとうございます。GPIFの運用成績は一時的な下落相場に伴う損失が出た時だけテレビや新聞で大きく取り上げられ、四半期の損失額だけが独り歩きする印象があります。あまりニュースで扱われない多くの期間は着実に資産を増やし、下落相場を含めた期間を含めても長期的にはリターンを出して適切に運用しています。
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