こんにちは、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)には、新たに加入後に運用指図(投資商品選定)をしないまま一定期間放置したままでいると、指定運用方法対象商品(初期設定商品、デフォルト商品)に自動で投資されます。初期設定商品は推奨の雰囲気もそれとなくただより、選ばれやすい傾向もあるとされています。金融庁の日米DC初期設定商品調査で、2022年3月末時点で日本は投資信託が58%、元本確保型の預貯金と保険が41%でした。一方、米国はミーチュアル・ファンド(投資信託)が84%で元本確保型は7%弱にとどまります。日経電子版が24日に報じました。元本確保型商品は一見すると極めてリスクが低いですが、長期間の運用ではインフレに負けやすい(ほぼ必敗)という欠点もあります。一方、初期設定商品に選ばれやすい投資信託は株式と債券で構成されるバランスファンドが中心です。一定のリスクを取った上で値動きの特徴の違う株式と債券に分散して投資し、長期でインフレに負けない程度のリターンを目指していくものが多いです。日経電子版によると、初期設定商品を見直しに動く企業も出ているようです。
通算運用利回りに大きな差
日経電子版の該当記事(該当記事は有料限定記事です)。なお、楽天証券に口座を開設し取引アプリ「iSPEED」をダウンロードすればアプリ内の日経テレコンで無料で読めます。
日経電子版の詳しい記事は上のリンクからご覧ください(有料会員限定ですが、会員登録すれば月1本まで無料で読めます)。日経電子版によると、DC初期設定商品は運用関連運営管理機関を担う金融機関によって、中身が大きく異なる傾向にあります。金融庁の調査では、証券会社が運用関連運営管理機関の場合は投資信託(株式と債券のバランスファンドが中心)の割合が高いのに対し、銀行は元本確保型の定期預金、保険会社は元本確保型の保険商品の割合が高くなるといいます。さらに日経電子版の記事では、日本格付投資情報センターがまとめた2022年日経企業年金実態調査の結果を紹介し、初期設定商品の重要性を伝えています。DCの運用通算利回りランキング上位の企業が10%超であるのに対し、下位の企業は0%台に沈んでいるといいます。複利を考慮すれば運用結果はさらに広がり、受け取れる年金額の格差に直結すると指摘しています。DCを導入する企業は従業員への理解度に応じた丁寧な年金や金融、資産形成教育が強く求められると思います。運用関連運営管理機関もDCの運用期間非課税、長期運用、予想インフレを考慮すると合理的とは到底言えない元本確保型商品を安易に初期設定商品にするのではなく、基本的な資産配分の一つである株式と債券に分散投資が可能なバランスファンドを選定するのがおおむね適切なのではないかと感じます。もちろん、低コストかつ世界中の資産に分散されており、時価総額加重平均に近いものが望ましいと思います。リスク許容度が極めて低い人が元本確保型商品を選ぶのは悪いとは思いませんが、長期のリターンは他の資産に比べ大きく劣後しやすく、インフレに負けやすいことは頭に入れた方がいいと思います。また、DCの定期預金は金融機関破綻時に預金保険制度で保護される預貯金の中で最も保護される順位が低い(いわば劣後預金)と申し添えます。筆者個人のDCの運用の考え方は積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)や来年以降の新NISAと同じで、低コストかつ時価総額加重平均型の全世界株インデックスファンドがおおむねいいと考えています。DCで思うような低コスト全世界株インデックスファンドがなければ、全米株、S&P500、先進国株でもいいと思います。
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