株主優待は多くの日本株の個別株投資家にとって楽しみだと思います。筆者の知り合いには年に1回ディズニーランドに行きつつ株式投資を満喫するためにオリエンタルランドの株式を持っている人がいます。筆者の友人は株主優待の商品やサービスを友人のプレゼントに活用しています。筆者自身もこの友人から定期的に使うサービスに対する割引優待券をもらい、大変ありがたかったです。この場を借りて再度御礼申し上げます。しかし、株主優待は、同じ株式を持っている株主を平等に扱わないという問題点があります。事実、年金基金や企業・公務員年金の運用、日本株の投資信託保有者、外国人投資家は株主優待によって不平等な扱いを受けています。経済評論家の山崎元氏が「誰が得する?敢えて述べる、『アンチ株主優待』論」を楽天証券コラムページ「トウシル」に掲載しました。
機関投資家はアンチ株主優待
山崎氏によるアンチ株主優待論の記事掲載は今回で4回目だそうです。トウシルの武田成央編集長は「株主優待の記事はトウシルでとてもよく読まれる記事で定期的に配信している。ただ、株主優待が絶対的な正義ではないということを改めて読者に知っていただきたい」として再掲載に踏み切ったそうです。山崎氏のコラムでは「株主優待が機関投資家にとって不都合で何らかのロスが生じる仕組み」としています。国家公務員の年金を運用する国会公務員共済組合連合会の業況報告書を紹介しています。業況報告書によると、年金資産による投資を通じて保有する株式から生じる株主優待券は、資産を管理する信託銀行でチケット買取店で換金してファンドに組み入れています。換金できない株主優待は福祉施設に寄付をするなどの処理をしています。換金の際には手数料などのコストが発生し、寄付の場合は感謝はされても、運用の観点では明らかな無駄が発生していると述べています。さらに、株主優待による不平等な扱いは機関投資家だけでなく、日本株のインデックス型投資信託を保有する投資家、大半の外国人投資家にも及んでいると指摘しています。株主を平等に扱わない点が株主優待の最大の問題点だと強調しています。全くもって、正論であり同感です。株主優待は日本独自の制度で米国など主要国にはない制度です。株主の平等性で問題視されかねないからだとみられます。山崎氏は他にも、マーケティング手段としての優待、個人の安定株主の功罪、投資家への影響についても論じています。
自社製品、サービスに基づかない株主優待はさすがに…
株主優待制度は、賛否を問われたら正直言って筆者も反対です。山崎氏が指摘している通り株主を不平等に扱う制度であるのはどうしても否めないからです。しかし、否定はしていません。小口の個人投資家を優遇する制度が続いている以上、優待を得られた個人投資家は堂々と株主優待を使っていいと思います。さらに、好きな企業に投資ができ、その上でその企業の製品やサービスを優待でもらえるからなおいいという優待投資家の気持ちは理解できます。企業側から見れば株主優待を通じ、自社製品やサービスの魅力、売り上げ向上につなげたり、安定株主を増やしたりする側面もあると思います。ただ、株主優待でも自社製品やサービスに関係ないクオカードなどを配るのは考え物だと思います。かつてふるさと納税で、とある自治体が高額アマゾンギフト券を返礼品にしていたケースと同じとさえ言えます。さすがに自社製品やサービスに基づかない株主優待は規制してもいいのではないでしょうか。
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山崎氏と日本のインデックス投資家の先駆者で投信ブロガー水瀬ケンイチ氏のよる「全面改訂第3版ほったらかし投資術」は日本のインデックス投資の教科書ともいえる存在です。
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