こんにちは、1月21日付朝日新聞朝刊7面トップ記事に「新NISA1年なぜ恒久化」と題した岸田文雄前首相、宮沢洋一自民税調会長、森田敏夫日本証券業協会長へのインタビュー記事が掲載されました。「まず資産所得増目指す」(岸田氏)、「預貯金より合理的容認」(宮沢氏)、「付加価値が問われる」(森田氏)という見出しも付されています。インタビューの内容から、大筋で手堅い見出しだと思います。少額投資非課税制度(NISA)と似た制度がある英国や韓国で国内投資枠を検討する動きが出ているという朝日新聞側の問いに対し、岸田氏は「家計の安定的な資産形成には分散投資も重要だ」と訴えた上で、NISAを通じた海外資産に投資することは一概に否定されるものではないと答えました。NISAに国内投資枠を導入せよと一部の金融関係者や金融インフルエンサーの声が散見されますが、岸田氏の回答はNISAで国内投資枠導入を検討していないという従来の政府や金融庁と同様の立場を表明したといえる内容でした。おおむね妥当な回答だと思います。
「長期分散低コスト」の原則に反する
詳しいインタビューの内容は該当日付の朝日新聞朝刊を読むか上のリンクからご覧ください(有料会員限定記事)。岸田政権発足時に金融所得課税強化への警戒感から株安が進み、払拭(ふっしょく)しようと苦心した岸田氏、株式の売買が好きでないであろう本音がにじむ宮沢氏、さらに普及させていきたい森田氏の三者三様の話が個人的には興味深いです。インタビューの中で岸田氏は企業統治改革をはじめ、投資対象として日本の金融資本市場の魅力を高める必要があると指摘しています。国内外のより多くの資金が国内企業への投資に向かうよう取り組む必要があると付け加えています。NISAで国内投資枠を追加するといった鎖国的税制でぬるま湯につけるという意味ではなく、企業が努力し、日本の金融市場の魅力を高めることで日本企業に世界の資金が集まってくるようにすることが重要であるという意味に取れます。おおむね正論だと思います。そもそも、NISAに国内投資枠を設定するのは「長期分散低コスト」というリスク資産運用の原理原則と真っ向から逆行します。個人の資産形成のための税制優遇制度に、特定の国の資産に限定した枠を設定するのは合理性に欠きます。NISA拡充の議論で、政府も国内資産限定枠導入を「無理、邪道」と結論付けています。
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