こんにちは、金融庁は8月31日、2023(令和5)年度税制改正要望を財務省に提出しました。要望の中には少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充が盛り込まれました。要望によると、①NISA制度の恒久化②非課税保有期間の無期限化③年間投資枠の拡大④通算非課税限度額の拡大⑤つみたてNISAを基本としつつ一般NISAの機能を引き続く成長投資枠(仮称)を導入して同時に投資可能⑥つみたてNISAの対象年齢を未成年者に拡大-となっています。筆者は金融庁によるNISAの抜本的拡充案を支持します。無事に税制改正大綱に盛り込まれ、国税や地方税の関連法案が来年の通常国会で成立することを願ってやみません。
2024年1月から施行目指す
金融庁の2024年度税制改正要望のリンク
https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220831/01.pdf
金融庁は31日、NISA拡充案説明会をオンラインで開催しました。筆者も参加を申し込み、幸いに参加することができました。金融庁の担当職員の説明から、NISAの拡充実現への熱い思いを感じました。18時30分開始にも関わらず投信ブロガーの質問に「終電まで付き合う」と宣言したくらいです。事実、様々な角度で飛んできた質問に対して一つ一つ誠実に答えていました。金融庁は、2024年1月から施行が予定されている2階建ての一般NISAなどを盛り込む新NISA制度ではなく、今回NISAの拡充案で2024年1月からの施行をしていく考えです。説明会の参加募集に骨を折ってくださった筆者が尊敬する投信ブロガーの大先輩の一人の虫取り小僧さん、ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。加えて当日のアクセスに手間取り、こくちーずの担当者様と金融庁の職員様に開始前30分に問い合わせして迷惑をかけてしまいました。お詫びを申し上げるとともに感謝申し上げます。
以下は虫取り小僧さんのブログ「いつか子供に伝えたいお金の話」のNISA拡充案に関する該当ページです。ブログはインデックス投資などお金に関わる話だけでなく、自伝小説が掲載されており魅力たっぷりです。筆者も思わず徹夜して読みました。
恒久化、無期限化、投資枠拡大が柱
金融庁は、つみたてNISAで2042年開始分までだったNISA制度の時限を撤廃し、恒久化を目指します。非課税保有期間はつみたてNISAで投資各年から20年間でしたが、無期限としたい考えです。年間投資可能額も現行のつみたてNISAの40万円から拡大し、12で割り切れる数字にするとしています。ただ、具体的な金額は未定とのことです。さらに、現行ではつみたてNISAか一般NISAの選択制ですが、一般NISAの機能を引き継ぐ成長投資枠(仮称)を設けて、つみたてNISA、成長投資枠双方に投資できるようにするそうです。もちろん、双方でeMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)といった同じつみたてNISA対象投資信託に投資することも可能です。制度恒久化、非課税期間無期限化、投資枠拡大が要望の柱としています。断定はできず、あくまでも説明会を聞いた上での筆者の感触に過ぎませんが、つみたてNISAと成長投資枠を合算した年間投資可能金額は現行のつみたてNISAと一般NISAを合わせた年間投資金額よりも多い金額を目指しているのではないかと感じました。くどいですが、現行ではつみたてNISAと一般NISAを合わせて投資することはできません。
日本株限定枠は設定せず!
金融庁によると、成長投資枠(仮称)は従来の一般NISA同様に国内外の株式、国内外の上場投資信託(ETF)、つみたてNISA対象を含めた幅広い投資信託を投資対象とします。日本株限定枠は設定されません。長期の資産形成に適していない管理銘柄や整理銘柄に指定されている個別株やETF、ヘッジ目的以外で金融派生商品(デリバティブ)取引による運用をしているレバナスなどのETFや投資信託は対象から除外されます。さらに、特別分配金(タコ足分配)が横行している毎月分配型投資信託も除外の方向で検討するとのことです。なお、新一般NISAで示されていた分かりにくい2階建て方式とはなりません。個人的に成長投資枠(仮称)に抱いていた懸念点の多くは解消されました。
通算の非課税限度額拡大
金融庁によると、通算の非課税限度額は現行のつみたてNISAの800万円よりも引き上げるとしています。購入価額(簿価)をベースに設定した上で、つみたてNISAの方が成長投資枠(仮称)よりも非課税限度額が大きくなるようです。ただ、具体的な金額は未定とのことです。売却した分の非課税限度額は簿価ベースで翌年に復活させる方向で検討しているとのことです。現行のつみたてNISAで運用している資産は拡充後のNISA制度開始後すみやかに新制度の非課税口座に移管し、非課税期間を無期限とする考えです。一方、現行の一般NISAで運用している資産は5年間の非課税期間終了(従来のロールオーバー)のタイミングで移管する方向です。ここからは説明会を受けた筆者の感覚的なものですが、通算非課税限度額は億単位は難しいものの8ケタ台で可能な限り多い金額を目指す形になるのではないかと思います。国民の長期の資産形成を後押ししつつ富裕層優遇にならない金額を金融庁が模索提案し、政治判断で決着がつくのではないかと思っています。
リバランスが可能な制度も検討
金融庁は、つみたてNISA、成長投資枠(仮称)各口座内で運用している投資信託のリバランスが可能な制度も検討しているそうです。従来のつみたてNISAや一般NISAは非課税口座内でのリバランスは事実上不可能でした。つみたてNISA、成長投資枠(仮称)それぞれの口座内で、投資信託に限りリバランスに必要な投資商品入れ替えなどの取引ができる制度を導入したいとしています。なお、個別株でのリバランス導入は極めて難しいとのことです。
まずは「つみたてNISA」
NISA制度を恒久化し、非課税期間を無期限とし、年間投資可能金額や通算非課税限度額を引き上げるとする金融庁のNISA拡充案は国民の長期の資産形成を強く後押しすると思います。つみたてNISAと成長投資枠(仮称)を併用でき、双方でつみたてNISA対象の低コスト全世界株、全米株、S&P500、先進国株インデックス型投資信託に投資可能です。個人的にはつみたてNISAに一本化でもよかったですが、金融庁が考える成長投資枠(仮称)ならば多くの投資ニーズに応えつつ長期の資産形成に適した商品にも問題なく投資ができます。金融庁の担当職員は説明会でNISA制度を活用して投資を始めようとする人向けに「まずはつみたてNISAで投資をするのがいいと思う」と訴えていました。筆者も同感です。今回は長い記事になりましたが、このブログに来ていただき、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
楽天証券はつみたてNISA対象で低コストの投資信託を幅広く、多数取り扱っています。つみたてNISAを開設するのに最も向いた証券会社の一つです。つみたてNISAに限らず投資信託は全て購入時手数料が無料です。個別株やETFも業界最低水準の手数料です。しかも、東証の主要ETFの一部は取引手数料無料、米国の主要ETFの一部は購入手数料が無料となっています。
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