こんにちは、でんです。筆者の文庫にある株式投資をはじめとする様々な本のミニ書評を不定期で紹介しています。第３回目は「お金の増やし方&稼ぎ方」（堀江貴文、山崎元共著）です。実業家でロケットエンジンの開発なども手掛ける堀江貴文氏と経済評論家でインデックス投資に広く深い見識のある山崎元氏の共著による新書です。お金の本質や貯め方、増やし方、稼ぎ方、人生との関係について２人の対談形式で考え方を提示しています。「自己投資と企業が一番期待値が高く、キャリアや知見、人脈のためならお金は使ってしまってOK」とする堀江氏と、「人的資本が小さい人は金融資産を多少は持った方が安心。金融資産を効率的に働かせるのがインデックスファンドだ」とする山崎氏の考え方は一見、かみ合わないように見えます。しかし、根底で堀江氏、山崎氏の考え方に違いはないというのが私個人の見解です。
お金の本質は信用の数値化で手段にすぎない
「お金の増やし方&稼ぎ方」は、序章から第４章までお金に対する本質や知見がふんだんに詰まっていると思います。その中でも特にお金の本質を扱った序章とお金と人生との関係を記した第４章は必読だと思います。堀江氏は「お金の本質は信用の数値化にすぎない」と述べています。山崎氏は堀江氏の主張に追加して「お金は自由を拡大する手段に過ぎず、目的ではない。だから徹底的に合理的に扱うのがいい」としています。こうした根底の考えを基に、起業家寄りの堀江氏、サラリーマン寄りの山崎氏が様々な見解を述べていっている印象です。山崎氏は金融資産を効率的に働かせるのがインデックスファンドで、全世界に分散投資ができて手数料が低い「eMAXIS Slim 全世界株式（オルカン）がいい」と語っています。個人型確定拠出年金（iDeCo）や積み立て型少額投資非課税制度（つみたてNISA）の活用にも触れています。堀江氏は「僕にとっての投資は自己投資以外にない」とした上で、「何も考えず、何も努力せずに、という前提に立てば、山崎氏が勧める内容は間違いないだろう」としています。
考える参考に
第４章で堀江氏と山崎氏は今はやりの「FIRE」（経済的自立と早期リタイア）に関しても厳しい指摘をしています。その上で、お金を持てば自由が広がる一方で必ずしも幸福にはつながらなず、人生の充実とは全く別だとしています。そして、お金と人間関係、生き方にまで議論は及びます。特に堀江氏の意見は一見すると極端にも見え、参考にならないようにも感じるかもしれません。しかし、堀江氏の意見そのものを実行できないとしても、考え方やメンタルは十分に多くの人にとって血肉になると思います。加えて、ユーチューブよりも書籍の方が学ぶのに適しているとする堀江氏、山崎氏の考え方に私も全面的に賛成します。堀江氏は「テキストでの情報収集が最強だ」と主張しています。最後に山崎氏の言葉を引用します。「いつも上機嫌でいるために、お金とは淡々と付き合おう。お金は単なる手段だ。もしお金で損しても『お金で済む問題で良かった』と開き直ればいい」
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