老後への資産形成のためや物価上昇(インフレ)に備えるためには、圧倒的大多数の人は受け入れられる価格変動リスク(リスク許容度)の範囲内で、リスク資産にも投資をした方がいいと思います。しかし、金融機関の営業担当者や一部金融インフルエンサーが繰り返し唱えるように誰にとっても必須・必修だとは決して思いません。絶対に運用資産を損したくないという人はそう思っているうちはリスク資産への投資をするべきではないと思います。また、十分な金融資産があり、定期的に入ってくる収入が支出を大幅に上回っている状況が一生涯続き金融資産を枯渇させる心配がなく、リスク許容度がないもしくは小さいという人は安全資産だけでも全然いいと思います。周りが言っているから、もったいないからと言って無理してリスク資産への投資を始めるべきものではありません。理解不十分な投資やリスク許容度を上回る投資は続けられなくなる原因になります。
必要ない人もまれにいる

私の知人(諸般の事情から属性は伏せます)に、十分な金融資産(金額は伏せます。相当な規模と察して下さい)があり、大都市の中心市街地の区分建物(代金完済済)を所有して住んでいる年金生活者がいます。しかも、年金収入が日々の生活費を余裕で上回っている状況で、必要な保険にも加入しています。近くに年収数千万円の親族までいて、いざとなれば面倒を見てもらえる状況です。ある時、私に少額投資非課税制度(NISA)口座を開設し、株式投資信託に投資した方がいいかと聞いてきました。収入や支出、資産状況、どれぐらいまでリスクを受け入れられるかを確認した結果、私は知人のケースならば基本的にリスク資産の保有は必要ないと思うと答えました。「減る可能性があるというのは頭に叩き込んだ上で長期的には増える可能性も十分にある資産で運用し、少しでも多くの額を子孫に相続したいならば検討しても」と付け加えたら、自分が生きているうち問題なければ問題ないという回答だったので必要ないという結論になりました。無リスク資産の運用候補として、しばらく取り崩さなくていい分を個人向け国債変動10年に置く手があると説明しました。ただ、リスク資産が本当に必要ないというケースは正直言うと、稀だとも思います。だから、多くの人は受け入れられる範囲内でリスク資産も運用した方がおおむねいいのではないかと感じます。
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